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2014年11月18日火曜日

「GDP」ショックとアベノミクスの終焉

 昨日、四半期ベースの「GDP」の速報値が発表された。民間の予測よりかなり悪い数字が出たということで市場は混乱し、株価は下がった。それよりも私は民間は何を根拠にそんな甘い見立てを建てたのか不思議でならない。

 安倍さんが首相になった時にアベノミクスを影(影でもないか)で支えている浜田氏の著作を読んだ。デフレ脱却には個人消費を持ち上げるために、企業の賃金を上昇させGDPを底上げすることは理解できるが、今回は消費増税や円安により賃金上昇分は相殺されるどころかマイナスになり消費者の財布の紐はさらに固くなってしまった。

 浜田氏は2014年の消費増税をもっと慎重に論議すべきだったと言っている。原則的に消費増税とGDPは関係ない。しかしながらマインドには大きく影響する。風邪ならまだしも肺炎が完全に治っていないのに無理をしたように状況が悪化する恐れがあると。

 そして成長戦略を急がねばならぬとも警鐘している。株価や資産バブルのみ膨れ上がっている現在のアベノミクスを揶揄しているのだ。既に安倍さんは自らの判断の甘さを今になって気づいただろう。消費税の先送りがその良い例だ。

 しかし遅すぎた。デフレ脱却には「明るい未来」が必要である。国民は「明るい未来」が見えないのだ。そもそも消費税を財源に財政再建して年金や福祉に当てる約束だったのではないか。国民はそれなら仕方ないと消費税アップを容認していたのに、さらに将来に暗雲が垂れこめる。選挙用の姑息な手段にしか見えない。

 3.11は日本経済に残された最後のチャンスだったのかもしれない。未曾有の大災害により、国民は経済成長より大切なものを学んだ。その時こそエネルギーを中心にした国、民間総力戦のイノベーションのチヤンスだったのに政策は手付かずのままだ。

 私も東京オリンピックまではゆるやかな回復傾向が続くかもしれないと言っていた。オリンピックはカンフル剤になるのではと考えたからだ。しかし考えてみるとデフレ不況により人材を縮小してきた建設業界は人出が足りない。そう簡単に増員できない。さらに東北復興のため資材も足らない。そしてこれらを担うのは超大手のみで、一般の住宅を建築している企業からは人材難、資源高の悲鳴も聞こえる。

国民は馬鹿ではない。国民は実体経済が上向いていないことを体で感じている。だから中身の無いアベノミクスにそう簡単にはダマされないのだ。

 中国は今日、オーストラリアとのFTP妥結を決めた。さらに上海の証券取引所の取引規制も大幅に緩和し門戸を開放した。隣国とはいえ圧力団体に表集めを頼むかわりに圧力団体の代弁者となりビジョンを持たないこの国の政治家と比べるのはどうかと思うがあまりの違いに落胆する。アベノミクスの終焉それは何を意味するのか・・・




2014年11月18日