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2010年7月29日木曜日

明太子 かずのこ  葛西敬之「明日のリーダーのために」

弊社のお中元は特別にお願いしているところで、夏は「明太子」冬は「かずのこ」と決まっています。

中には変えてほしいというユニークな顧客もおりますが、大方喜んでいただいているようです。

顧問をお願いしているK弁護士からもお礼状が届きます。K弁護士はちょっと変わっていて顧客にも私達にもおべんちゃらは全く言いません。書状にも「体に悪い好物をありがとう」と書かれています。

確かに高コレステロールで食べすぎは体に悪いです。

そんな書状の中に葛西敬之著の「明日のリーダーのために」という本を勧めていました。

K先生が「親米保守」の代表のような著者を進めるとは少し以外でした。

でも読んでみることにします。

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閑話休題

週刊朝日におかしな記事が載っていました。税調の委員も務めている(尾身さんとの確執でも有名になった)大物が、政府の借金900兆円は返さなくても良いといっているのです。私の嫌いなK氏と共著をよくしているこのJ氏ですが、それはないでしょう。外国債でないから平気とはおまりにお粗末ですよ。いや、お偉い先生のこと何か別の企みでもあるのでしょうか(例えば国債を大暴落させるとか!?)

素人でも国債が信用の上に成り立っていることぐらい理解できるのに、この手の論者が闊歩しているこの国はかなりの危険域になったようです・・・・・・・

心に残る言葉  武田百合子 「富士日記」



武田百合子氏のこの2冊をつい最近読み返したばかりである。

上質なエッセーというものは、原稿用紙数百枚の表現よりわずか数行の言葉の羅列で、すぱっとその場を切り取って私達にありありとその光景を見せてくれるものなのだ。

そんなエッセーの中にこんなくだりがある。

愛犬が死んだ昭和42年7月の日記

「まだ小さかったポコは山荘へ向かうトランクの中で籠の蓋に首を挟まれ窒息死する。泰淳さんが穴を掘り、百合子さんが泣きながらポコを横たえる。そして百合子さんは「早く土の中で腐っておしまい」というのである。
これほどまでに悲しい、そして真理をついた表現は見た事もない。

土に帰り、宇宙と一体になる。

死とはそういうものなのだと我々に気づかせてくれる。

ポール・オースター Paul Auster  柴田元幸

ポール・オースターを初めて読んだのは「ニューヨーカー」に連載されていたものだった。

その後、なんとも言えない「ざらっ」とした感覚が気になり、「幻影の書」「トゥルー・ストーリー」「偶然の音楽」「ナショナルストーリー・プロジェクト」と読み漁った。

そして全ての訳が柴田元幸氏である。氏の翻訳は村上春樹氏の翻訳が小説家としての心中を断片にしているのとは対照的に、翻訳者として煮詰めて煮詰めて言葉を選びだし翻訳に徹した傑作といってよいだろう。

村上春樹氏が何故、グローバルなのかという問に対して、氏の翻訳はそれ自体他社との共感であり、翻訳を通じて世界中のあらゆる小説の要素を咀嚼して、そして吐き出していると結論付けられる。

ナショナルストーリー・プロジェクトはポールが全米から一般の人の色々な話を集めたものだ。

今日本でも進行しているらしい。

「偶然の音楽」に書かれているように、実は人生の大半は理由のつかない偶発的な出来事によって形成され、そしてその不可思議な中に、真の物語を掘り起こそうとしているものなのだ。彼の小説は虚構などと言う便利な言葉で片付けられないのだろう。

もし読んでないならどれでも構わない、ご一読をお勧めする。現代アメリカを代表する作家であることは紛れもない事実だ。