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2010年6月24日木曜日

PAIDS "paralyzed academic investigator's disease syndrome"

大阪市立大で大学院生が実験に使われる「アクリルアミド」という毒物で自殺したと言う痛ましいニュースを聞いてPAIDS(paralyzed academic investigator's disease syndrome、麻痺状態となった大学研究者症候群)という「病名」を連想した。

自殺した人が本当にそうであったか定かではないが、そもそもこの病名はコレステロールと動脈硬化の研究でノーベル賞を受賞したJoseph Goldsteinが付けたそうである。

Goldsteinはこの「病気」の原因は基礎的訓練の欠除によると明快に結論している。

つまり基礎的訓練の欠如のまま、高度に専門化した研究という職業のストレスが半端ではないことを物語っている。息子にはparalyzedにならないように願っている。

独占禁止法

昨日、家電量販店でA社の携帯音楽プレヤーの価格を確認したらネットの直販ストアと1円も違わない価格でした。やはりです。

りんごのマークの製品が他の家電量販店から一斉に姿を消した記憶が新しいですが、この件について公正取引委員会では、「メーカーが取引先を絞り込む行為自体には違法性はないが、定価販売をしないなら取引を中止するということは重大な問題だ」と指摘しています。

要するに市場において圧倒的シェアを持つ商品だからこそ出来るのであって、消費者に不利益を被らせる恐れがあるというわけです。これに従えば独占禁止法違反です。

まあ両刃の剣のこどくそういう商品を開発するライバル他社が存在すれば、そんな行為自体出来ず、さらに同業他社が同じような商品を作った時にはすでにその市場から退場しているのですから、この事を取りあげ裁判してもねずみ色の評決になるだけでしょう。

しかし、企業と言うのはモラルを問われます。そのことは忘れべからずです。

17年目の退役

娘と息子の部屋のエアコンの話。

我が家の子供部屋はつい最近まであまり使われませんでした。小中学生までは1階のリビングに全員が集合し、勉強も娯楽もほとんどここが中心でした。(二人とも今でも部屋に籠っているということはなくリビングで勉強したりしています)

引っ越してきたときにはリビングのダイニングテーブルのみ少し無理をしてオーダーしました。
ここが我が家の中心(へそ)だった訳です。このテーブルは勉強机にもなり、もちろん食卓にも、弁論大会のときは演説台にもなりました。

小学校の頃、息子が某塾で特待生になり授業料は免除の上、全国で1番や上位になると蛍光マーカーや鉛筆がもらえるので、その景品が集まりすぎたので知り合いに分けていましたら、そのうちのある親より「どうやったら頭の良い子を育てられる家が作れますか」と聞かれたことがあります。

私はすかさず「子供部屋をなくして。毎日、親と会話出来る家にしなさい」とアドバイスしたことがあります。そのご夫婦は実行したのか定かではありませんが、肝要なのは親の関わりです。

そんな昔話はさておき、娘も今は年頃になって自分の部屋で寝ています。息子はあっちにいったり、こっちにいったりで、自分の部屋はファゴットの倉庫と化していますが木製楽器だけに夏は常時、クーラーを入れています。

そんなこんなで17年目のクーラーを2台交換しました。安いものは4万円台でありますが、省エネで電気代が安く、値段のそこそこといものを選びました。

ここは難しい判断です。いくら省エネといっても値段があまりにも高ければ、電気代という可変要素のリスクがあり将来電気代が下がればトレードオフの関係となります。一方、いくら安くても電気代があがればそれまた同様です。

17年頑張ってくれたクーラーに感謝です。

K・Kコンビ テフロン首相

菅首相の発言の中に「強い社会保障」という言葉がよく使われます。

あれ、どこかで聞いた言葉だと思いません?

息子の先輩ではあるけれども、テレビの討論番組の中で竹中平蔵氏に全く歯が立たなかったK氏が小泉構造改革路線反対派(それゃそうでしょ。マル経なんだから)は既知のことですが、このK氏とよく共著をしている政府税調のJ氏(読み間違えるとKと読むから)が良く使う言葉だからです。

彼らは新自由主義を完全に否定しています。彼らの理論は競争社会=格差社会という構図です。

何となく、菅首相の発言に彼らの影が見え隠れしていると思うのは私だけでしょうか?

KKKは困ります。KKJも困ります。「どうして2番じゃいけないんですか」という完全トンチンカンな女性議員に日本のコアコンピタンスの重要性が分からないように、国際社会の基序、構成を理解してほしいものです。フラクタクルやカオス理論も知らぬまま一元的思考で政治を進めています。

アメリカでは何を言われても平気の心臓の強い大統領のことを揶揄して「テフロン大統領」と呼びます。さしずめ菅さんはテフロン首相とでも呼びましょうか・・・・・・・・・

サイトカイン・ケモカイン  非線形科学



文系の私にとって2冊とも荷の重いものであることは確かですが、サイトカインケモカインのことは息子の研究領域でもあるので、例え親として追い越されていても少しは理解したいとの思いで購入しました。筆者はこの領域の第一人者ばかりです。

中々聞きなれない「抗ウィルス免疫応答カスケード」なる言葉、(カスケードって小滝っていう意味ですよね)やら中々、命名の妙を感じます。しかし、さずが1万円近くの本です。とても数日では歯が立ちません。

一方、蔵本由紀氏は京都大学名誉教授で、時空カオスモデル蔵本ーSivansky方程式や、振動子集団の可解模型の蔵本モデルを発表した物理学者です。この先生が一切数式を使わないで、非線形科学の概要を読者に知らしめようとしている良書です。

細かく分析して全体を理解するデカルトを代表する近代合理主義に対して「カオス」「フラクタクル」「ネットワーク理論」などこの合理性に足りないものをかいして説明しようとしています。

著者は複雑系の理解の一助として以前読んだ、「SYNC」スティーブン・ストロガッツの訳者でもあります。

この本は軽井沢の白樺に囲まれたベンチで読むときに最大の威力発揮しそうです。(笑)

言葉の食卓


昨日注文して、昨日届くアマゾンはすごいと思います。

富士日記」は生憎在庫切れと上・中・下三巻のため、手っ取り早いこの随筆集を買い求めました。

夫、泰淳氏の「ひかりごけ」は既に拝読していましたが、妻であり、花さんの母である百合子女史の文章は初めてです。

抜粋ー
 皺深くニス色をした手の甲がやわらかくて、白い掌や指先がが湿っていて「ゴムみたい。黒ん坊みたい。吸盤があるみたい」と私はいつも思っていました。

こういう味のものが丁度いま食べたかったんだ。それが何だか分からなくて、うろうろと落ち着かなかった。枇杷だったんだなあ

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すぐれた随筆と言うのはその情景を切り取ったようにみずみずしいものです。

まさにこの作品の筆致はその通りです。花さんの写真が風景を切り取って時間と空間をそのまま凝縮したような作品であることも、この母の随筆を読んで納得しました。子は親の影響を受けているものなのですね。