「富士日記」は生憎在庫切れと上・中・下三巻のため、手っ取り早いこの随筆集を買い求めました。
夫、泰淳氏の「ひかりごけ」は既に拝読していましたが、妻であり、花さんの母である百合子女史の文章は初めてです。
抜粋ー
皺深くニス色をした手の甲がやわらかくて、白い掌や指先がが湿っていて「ゴムみたい。黒ん坊みたい。吸盤があるみたい」と私はいつも思っていました。
こういう味のものが丁度いま食べたかったんだ。それが何だか分からなくて、うろうろと落ち着かなかった。枇杷だったんだなあ
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すぐれた随筆と言うのはその情景を切り取ったようにみずみずしいものです。
まさにこの作品の筆致はその通りです。花さんの写真が風景を切り取って時間と空間をそのまま凝縮したような作品であることも、この母の随筆を読んで納得しました。子は親の影響を受けているものなのですね。
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