以前にもお話したと思うのだけど、私の特技の一つに速読があります。訓練の賜物と言えばそれまでですが、息子が中学の時には既にそのスピードは抜かれていたので大したことはないのですが、一応普通の人より早く読めます。
そのおかげか読みたいと思う本は常に3.4冊買い置きしてあります。でも面白いと思う本ほど早く読めちゃうから矛盾して、例えばずっと発売を心待ちにした村上春樹氏の1Q84なんか2時間掛らず読み終え、場面の細部までイメージ出来るのに、これがすぐ終わってしまう。
でも全ての本がこの方式かと言うと違うのです。1年に2.3回読み返す本もあります。こうした本はページに気になるところをチェックして再度チェックする読み方をする訳で、経済、経営やマーケティングの本に多く見られます。
一方、こんな短い周期とは別に10年、20年経って読み返す本があります。私のコンドラチェフ周期にあたる本です。
今、読み返しているのは中根千枝著「タテ社会の力学」です。批評家の間では、古臭い理論だとか、右肩上がりの日本にしかあてはまらない、そもそも理論そのものが破たんしているとか、散々の評価ではありますが、私は一向に意に介しません。
私は偶然、この本を取り上げた一般教養の授業を受けていました。本人ではなく御主人の方の。授業の印象は本人の著作でもなく、さりとて他人でも無い人の本を説明するその御主人の微妙な距離感が面白かった事を覚えています。
当時ははっきり言って内容そのものは、「そんなものか」という程度にしか思いませんでした。
しかし、今になって読み返すと、ここ違うんじゃないかな、いや、この見方は面白いと、色々な所に発見があるのです。
数年前から、家族論、ジェンダー論などの本を読み始めました。最近では山極寿一氏の本など動物を対象にした家族論、集団論を読みながら父系社会、母系社会について考察していたので、当時の(30年前)とは大分、基となる知識の量や種類も違うのでしょうがそれにしても、多くの発見があります。
有名な言葉に「我々は我々の知っている事しか知らない」といものがあります。その通り、人知の及ぶところなど物凄く小さいのです。
今日もこうして今にいながら無限の冒険に旅立てるのは幸せじゃないですかとページをめくるのです。
それにしてもイエール出のMichelle Shaprowの歌声は良いなあ!!
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