河豚田さん家のあなご丼
サザエさんに登場する人物の中で脇役で重要な役回りをしている人が何人かいる。私はこのような人はこの物語のトリックスターだと思っている。御用聞きの三河屋さんもその一人だとにらんでいるがマスオさんのサラリーマン仲間のあなご君もそうではないかと密かに推測している。マスオさんが君づけで呼ぶのだから後輩なのだろうが、アナゴ君の物言いは同遼かそれ以上だ。これはトリックスターの所以なのだと一人にんまり思っている。磯野家、河豚田家とは血縁関係がないにも関わらず魚介の名前が付いていることも不思議でしょ。
話はアナゴの事。宮島のアナゴ丼は有名である。残念ながら一度も食していない。是非機会があったら食してみたいものだと思うが、実はこのアナゴは羽田沖が漁場でよく釣れる。友人と多摩川の河口近くに行ったときに川の真ん中で何やらビニールのパイプのようなものを水中から引き揚げている船を見た。これがアナゴ漁だと後で分かった。
鰻はもちろん大好物なのだが、鰻よりさっぱりしているアナゴも好物である。長いものが全部好きなのかと思われるかもしれないが、ウツボは不味かった。いくら噛み切ろうとしても噛み切れず懲りた覚えがある。それと海蛇も沖縄で食した事がある。確かその料理はイラブー汁と言っていたと思うが、あの味には馴染めなかった。
銀座にHというアナゴ専門の料理屋がある。誰だったか忘れたが連れて行ってもらった事がある。その御仁には申し訳ないのだが、あまりのメニューの多さに直前に食べたアナゴの味を忘れてしまう。こういう店より直球勝負の店が好みだ。
店をやっているころ、横浜の南部市場に早朝に仕入れに行ったことがある。ここは一般で入れないが、生麦には一般でも買える魚河岸通りというのがある。ここは旧街道に沿って鮮魚店が立ち並び神奈川、東京の飲食店も仕入れにやってくる。この中にアナゴを専門に扱う店がある。
多くの寿司店もこのアナゴを使うくらいだから味は折り紙つきだ。お薦めは焼きアナゴを買って、炊き立てのお米とまぶした弼まぶしである。好みでワサビを添える。
自分で調理するのは面倒だと言う人に。もう一件誰にも教えたくない秘密の店がある。
金沢漁港のすぐ隣にある「かりんの木」いう店である。駐車場はないので海の公園に車を停めるかシーサイドラインに乗っていく事をお勧めする。なによりここのアナゴは金沢漁港の漁師さんより直接買い付けているから新鮮である。新鮮な材料はシンプルに料理するのに限る。焼く、煮る、揚げるこれで十分なのだ。魚介類全般が苦手の母もペロッと平らげた。私に珍しく美味しかったと感謝していた。これでしめしめゴマすりも効いたようだ。
この店は普通の家の一階を改装している。良く見ないと見逃してしまう。行かれる際には予約を入れて出掛けた方が良い。日曜は休みなのでその点も注意されたし。ただし、行けば満面の笑顔となって玄関を出てくる事は間違いない。そしてもし拘りがあるのならばマイ山椒を持って出掛ける事をお薦めする。この店の山椒は残念ながらSBなので・・・
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