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2010年7月22日木曜日
小川洋子 博士の本棚
「妊娠カレンダー」で芥川賞、「薬指の標本」、「ブラフマンの埋葬」で泉鏡花文学賞、さらには日本で寺尾聡さん主演で映画になった「博士の愛した数式」と今や日本の文学界の大御所となった小川洋子さんです。
私より数歳若いのですがまあほぼ同年齢ということです。
昨日、インテリア関係の書籍を探しにあざみ野にある本屋さんに行ったのですが、お目当てのものはなく、いつもの「みすず書棚」が夏休ということもあってか、「数学の特集」になっていました。
平積みしてある本はほとんど持っているものばかりで、その中にこの小川洋子さんの「博士の愛した数式」の隣に「博士の本棚」というエッセイが置いてありました。
パラパラとめくるとそこは彼女の流れるような筆致、購入しました。
彼女のエッセイの中に武田百合子さんが書いた「言葉の食卓」という章がありました。この本はつい最近読んだばかりです。
その章で彼女は「一行一行に独自の世界が隠れている。百枚の小説でも描ききれないものが、日常のスケッチに封じ込められている。しかもご本人にはちっとも力んだところがない。ありふれた質素な言葉たちを、素っ気なく吐き出していくだけだ。ところが、指先からこぼれ落ちたとたん、それらの言葉たちは今まで一度も見た事のない種類の光を放ち始める。そして、現実の向こう側を照らす」(博士の本棚 新潮文庫より)
と表現しているのです。まったくそのとおりです。膝をつい打ちたくなりました。読書を通じて全くの他人と共感できる(共感したと勘違いできる)ことは読書の喜びでもあります。それが文学界の大御所となれば尚更です。
「富士日記」にしても武田百合子さんのその所作は一見無鉄砲であっけらかんとしています。しかし、ふとする言葉は物事の本質を鋭くえぐり、毒づくことさえあります。
この本は夏休みのプールサイドに持っていきます。入道雲の下で冷たいダイキリでも飲みながら、ヘミングウェイと小川洋子さんのこの本をめくることを楽しみにします。
そうそう雑誌ニューヨーカーに小説が掲載されたのは日本人ではこの小川洋子さんを含めて3人しかいないそうです。あと二人は?
村上春樹氏と大江健三郎氏とのことです・・・・・・・
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