このブログを検索

2013年1月21日月曜日

テルアビブの闇


 その生き物は人々が眠りに就こうとする頃にうごき始める。

テレビでは選挙結果をくだらないコメンテーターの分析と一緒に流している。世の中にはこうしたどうでもいいことを自分がさも超能力者か預言者のように振舞い、それ見たことかと衆人を愚弄することでお金をもらい生活している人が居る。彼らもまた闇の住人か。

昨夜から降り続いた雨はあがった。道路の陥没は小さな水たまりとなって、黒い涙のように光り輝いている。東に延びる道路は湿っていて、まるで爬虫類の皮膚のようにぬめぬめしている。

街路灯の灯りがその表面を照らす。初冬だと言うのに空気は暖かい。

雨は全てを洗い流すといわれる。昨日の雨はそれとは違う。地表の襞にすこしづつ湿り気を浸透させている。天から潤いを受けたその体は少し重そうだ。

遠くで梟が啼く。とっくに南へ行ってしまった燕の巣が軒先に所在なさそうに残っている。

アマルガムを飲み込んだ蛙はもう鳴かない。不倶戴天、ルサンチマンの憎しみは風をとめた。油断してはいけない。この時間の闇は大きく深いから。






0 件のコメント: