ステーキ 潜龍 岐阜
ステーキの美味しい店は数あると思う。値段を関係なしに言えば銀座の「かわむら」新橋の「麤」、汐留の「吾利欧」と都内には肉のスペシャリストが数多存在する。
この頃は歳のせいか脂の少ない赤身が食べたくなる。そんなときはアメリカに限る。日本にもルースズなどが出店しているが、アメリカ国内では大抵の店はどこに入っても旨い。最近出来たワイキキのBLTなんかはアメリカ風ではなくフレンチの繊細さを持っている。叔父に紹介されたハイズはキァベの香りがしてシックな内装の中、ライブの演奏も聞くことが出来満足度が高い。私が行った時にはアウディ木村がステージにいた。
そんな店とは正反対なのが岐阜の潜龍である。30年近く前、岐阜に赴任していながら敷居が高くて入れなかった。義父が岐阜に来た時に(??)初めて連れて行ってもらった。当時の私にはこの店の肉は衝撃だった。使用されている肉は飛騨牛と言っていた。
それから東京に戻り、潜龍のようなコースでステーキを提供する店に行く機会を得た。ただ確かに美味しいのだがあの時のような衝撃を受けなかった。何分、潜龍ではそれまで肉を吐き出していた娘が食べたのである。子供心に美味しい肉とそうでない肉を理解していたのかもしれない。そんな潜龍に昨年出掛けた。心待ちにした料理は私達には十分すぎる量だった。あれ、美味しいけどあの時の様な感動が無い。落ち着かない私を見透かすように、妻は歳を取ったのよと一言。そういうことかいつかは美味しいものも段々食べられなくなっていく。アボリジニの画家エミールウングワレーの絵のように徐々に混沌と・・・
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