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2013年2月1日金曜日

まくら とよかつ 恵比寿



恵比寿で15年間飲食店を経営していた。経営していたと言っても雇われマスターだったので気苦労は多かったが実入りは無かった。人が足らない時には皿洗いまでして手伝った。あの頃はどうしてそこまで頑張っていたのだろうと思うが、人間そういうものである。
私の店は名酒菜席いちという45席ほどの居酒屋だった。駒沢通りに面して間口が狭くその奥にあった下宿をそのまま改装したものだった。当時は景気が良かったせいもあって、毎晩のようにウェイティングが出ていたこともあった。当初運営は外部に委託していたがバブルの煽りを受けてその会社は消えて行った。その後は職人を入れるも長続きせず店は荒れる一方だった。結局、自分たちでやるようになった。メニューも何度も試作して自分たちで作った。中でも評判が良く売り切れが続出したのがインド風の肉じゃがと鰯のコロッケだった。前者は所謂カレー風味の肉じゃがである。ただし、パプリカとトマトがアクセントになっている。鰯のコロッケは鰯を一匹手開きにしてコロッケを作る。昨今の鰯の不漁ではとても高くてお客様に出せないだろう。
そんなとき働いていたスタッフと夜食を取るのが日課だった。夜食と言っても掃除して店を出る頃には12時を回るのだから開いている店は限られる。当時は斜め前に美味しい頃の恵比寿ラーメンがあり納金所の隣にある香月でも良く食した。洋食が食べたい時には代官山のポエムでイカスミのパスタを食べたりもした。今考えると信じがたい夜型だった。店でも焼き鳥を出していたのでスタッフと焼き鳥屋に行くことはなかったが、遠くから客人が来て満席で自分の店に入れないときなど私が時間つぶしがてら使うのが恵比寿のとよかつだった。
ここはいわずとしれたホルモンの店である。ホルモン好きにはたまらないであろうが、実は私はあまり得意ではない。食感云々より脂っこいと感じてしまう。これは今も続いている。ここの名物につくねに韮を巻いたまくらという一品がある。実はこれが私の大好物なのである。店で出していたつくねには生ハムも入れたちょぃと西洋風の味付けであるが、こちらはホルモン屋で出す直球勝負のつくね串である。プレディナーとしてこの串を1本とビールを一杯飲む頃には店の席が用意出来たと連絡を受ける。今の様に携帯電話は無い。アルバイトの男の子が自転車で呼びに来た。この店のまくらを見るとあの頃、東奔西走して我武者羅に走っていた自分を思い出す。



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