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2013年10月21日月曜日

CARRERAとCALERA


carreraとはそうポルシェ911のことである。私が50歳を過ぎたらなんとかして乗りたいと思っていた車であり、少し遅れたが念願かなって今手元にある。

私のクルマ遍歴は30年以上になる。自分の中でルールを作っていた。50歳まではスポ―ツカーとベンツは所有しない。理由は簡単、若い自分には似合わないから。

ある人が私に言った「どうしても新車が乗りたいなら国産にして10年以上乗りなさい。もし会社に利益が出て、できる限りお金を貯めたいなら中古の輸入車に乗りなさい」

私は理由もわからずただその言に従った。そして20年続けてきて今になってその理由がはっきりと分かる。人には好みがある。跳ね馬のスポーツカーも、悪魔のような名前のランボルギーニも乗ってみた。確かに一度ハンドルを握れば官能的ですらある。でも私には金庫のように堅牢で面白くはないかもしれないが勤勉で真面目な固くしまったボディで必要以上に咆哮をあげない911以外に所有したいと思う車は今のところ見当たらない。

初めて911のハンドルを握ったのは20年近く前、あんなにも運転の難しい車があったろうかとその時思った。上り坂で前輪が浮いてハンドリングが効かない。ジムカーナや悪路で腕を鳴らしたつもりがガードレールにぶつかりクラッシュ寸前の目にあった。そして50歳を前にした現代の911に試乗した。もはやそれは当時のようなじゃじゃ馬ではなく、ジェントルにして大人の風格を携えていた。そしてやっと手に入れることが出来た。本来なら素のカレラで十分だったのに縁あってsがやってきた。先程、ジェントルといったがそういう運転も出来るということで、本来のスボーツ性能は色褪せていない。

跳ね馬もそうだが、高回転型のv型エンジンというのは低速で転がしているとブスブスと嫌な音がする。特にv10など低速走行は苦手でサーキット以外は適さないと思う。その点フラット6はブルンという震えが一発で止まり、低速からトルクが盛り上がる。
こんな話もevになったら「何?」の一言で消え去ってしまうのだろうが今のところもう少しご容赦願うことにする。このcarreraはスペイン語でレースの意味だそうである。メキシコの公道を使ったレースにこの名前が冠されてもいる。


もうひとつ建築関係のお仕事に携わっておられるなら、イタリア産の白い大理石をビアンコ・カララと言うのをご存知だと思う。そうこちらの方はワインのcarelaのそれと同じで「石灰質」のと言う意味がある。偉大なるシャルドネの白ワインを作るにはこの土壌がとても大切である。

carela がカリフォルニアのロマネ・コンティと言われるには理由がある。当主がdrcで醸造の手法を学んだばかりでなく、その若木を持ち帰り植えたことに由来するというから、相当意識したのだろう。私も先輩や友人に勧められてこのcarelaをよく飲んでいた。ところが数年前から品質が急に悪くなった。いや確かに悪くなった。値段も急落した。理由は分からないが、インポーターのせいなのか、生産の問題なのか分からないが少なくとも魅力が失せていったのだった。ところがどうだろう数日前試しにと2011のシャルドネを飲んでみると、いやいやどうして良くなっているではないですか。

少し温まってくるとまずトースト、青りんご、ナッツの香りと複雑にアロマが重なってきて、牡蠣の殻のようなミネラル分を感じ、酸味は抑えられ喉奥に仕舞われた頃にはもう一度ブーケのような香りが鼻を抜ける。これは年代物のムルソーのように石灰質の土壌から懸命に水分をとるぶどう特有のなせる技です。この値段でこれは買わない手はないと思う。

ということで二つのカレラ、今のところ私は大変満足している訳です。




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