昨日は電車に乗る機会があったので駅前の書店で1冊を購入しました。
これが良い本でした。経済危機を声高に書き記す本や全ての原因がアメリカとその金融システムにあるなどという論客はこのときばかりに威張り散らす子供と同じです。
この著者野口悠紀雄氏は早稲田大学大学院でファイナンスの教授をしている元大蔵官僚です。元大蔵官僚だからといって穿った目で見ないで下さい。
日本ではアメリカの金融危機が起こったときに「対岸の火事」「たいしたことはない」と高を括っていました。その理由は日本の金融はアメリカのように毀損されていないというものでした。
私はそうかなと思いました。今回の危機の発端は確かに金融システムの過度な成長と脆弱さにあります。しかし、トフラー氏の「富の未来」にも記されていましたが、グーローバル化の本質は富の移動が瞬く間に、瞬時に行今回の本質のような気がしています。
アメリカは輸入国です。そして日本は輸出国です。アメリカの景気は輸入減により「緩和」されます。しかし、日本や中国は「さらなる痛み」になります。本の題名とは裏腹に著者は日本が世界で一番この景気回復が遅れるという結論です。
もうひとつ注目されることは為替です。この本でも述べられている「ビッグマック指数」は簡単に言えばビッグマックが各国でいくらかという比較です。日本では290円、アメリカでは3.54㌦です。1ドル90円とすると日本では3.2㌦と安くなってしまいます。率にして90.4%です。つまり同価とするためには円は1ドル81.36円でなければなりません。
日本経済は円安というトレンドとは逆行した為替をベースに外需依存を続けていた製造業こそ大きな見誤りだったのだと思います。つまり81円で利益の出る構造に転換するべきだったのです。
最後に自己投資の重要性を説いている点では、本田直之氏等とも同様に機会費用の観点からも検証されていました。
今回の経済危機を単なる金融システムのみに問題があるという了見の狭い内容ではなく、マクロ的に厳しい内容は好感が持てます。Sパパ是非ご一読下さい。お薦めします。