私にはあえて友人と呼ばせてもらいたい若い才能を持ったご夫婦がいる。ご主人はバックミンスター・フラーの研究者でもあるがそんな一言では括れないとにかくマルチな才能を持った人物である。近年、積み木の家で有名な相田武文記念賞も受賞されたのでご存じの方も多いと推測される。奥様も建築士として住宅を始め幾つものプロジェクトに携わりこれまた多忙を極める人気建築家である。そんな二人に今年第一子が生まれた。二人に似て美男美女その上才能もときたらさぞ親である彼らの心配は今から容易に想像できる。
その奥様がある雑誌の取材に応じている時、隣の部屋で寝かせていた赤ちゃんがぐずり始めたというのである。親は気が気でない、取材にも集中しなければならないし、子供の心配もしなければならない。まさに自分がその時ライターに対して何を受け応えたのか分からなくなったとブログに書かれていた。私はその光景を想像した。大いに結構、素晴らしいではないか。
奥様はこれからもずっとその雑誌を見るたびに子供の鳴き声とその時のことを思いだすであろう。それは今では想像できないかもしれないが紛れも無く夫婦子供にとって幸せの時間なのだ。
子は育つ、もうその時の赤子には戻ってくれない。そんな大変な子育ての時こそ親にとってしあわせの時間であると私は断言する。そう、幸せの時間は近くにいると見過ごしてしまいがちだ。遠くになってもう手が届かないようになって幸せだったとわかるのである。
まだ二人は若い。これからも楽しい幸せの時間を共有できる。本当に羨ましい。