「小さいおうち」 中島京子著
これは直木賞をとったのでどうも私はそういう権威がつくと後回しにしがちで、パラパラとめくった程度でした。反省です。
戦前から戦中戦後を女中として働く女性の視点で快活に語られています。歴史公証は専門家に譲るとして一般の家庭では戦時下においてもこんなのほほんとしたたわいのない話題だったのでしょう。
小説に出てくる資生堂パーラー、コロンバン、アラスカはもとより、鎌倉のシューマイの名店「二楽荘」なども登場し、美味しいもの好きの私には興味深々です。
良書であることは間違いありません。反省でした。
「私の家では何も起こらない」 恩田陸著
恩田陸がつまらないはずはないと読み返した1冊でした。しかしどう考えてもストーリーに工夫が感じられません。恩田さんの作品にあるわくわくどきどきだけど怖いという感覚がしないのです。
息子も同冊を持っているので唯一マウイに置いてきました。
「ガラスの街」 ポールオースター 柴田元幸訳
まさにポールオースターの世界です。世の中の無情理とそのざらついた読後感は彼ならではです。
私は個人的に柴田さんの訳は「職人的」で好きです。村上氏の訳があくまで小説家としての興味であるのに対して対象的な気がします。
ピンチョン&ディクソンも良訳です。お薦めです。
様々なバースデーにまつわる現代アメリカの小説家を村上氏が翻訳した書籍です。
中には長距離トラックの運転手をしながら小説を発表している作家もいます。トラックの描写がやけに丁寧で現実感のあるところで分かります。こうして村上氏の翻訳と柴田氏の翻訳を比べる妙味でもあるわけです。
この分野の第一人者の蔵本教授が書いた分かりやすい非線形科学の本です。確かに難しい関数など使われていませんが、やはり私のような文系脳が理解するには何回も読み返したりしなければならず一番時間の掛った本です。しかし、文中には「SYNC」を著したスーティブン・ストロガッツ氏のことやさまざまな複雑系と呼ばれる研究の分野に言及しています。
もちろんマウイより持ち帰りました。
「基礎分子生物学」 田村隆明 松村正實著
息子が「お父さんに貸すと水にぬらすから嫌だ」といっていたのでこっそりもう使わなそうな気その本を黙って持ってきました。生物学は以外とネーミングがうまく既出ではありますが「分子シャペロン」などもそのひとつ。以外と文系でも読める内容でした。もちろん大切に扱いました。
「謎 003」 恩田陸選出
「ショートショートの花束」 阿刀田 高編
この恩田陸選出のショートスト―リは結構面白かったです。一方、阿刀田高氏のものは短すぎて小説というよりは小話のようです。
「夜明けの街で」 東野圭吾著
これは妻の本です。ところが面白くて1時間少しで読んでしまいました。何もなかったかのように淡々と進む前半と、色々な人が絡み合ってくる中盤そして大展開となるラストとサスペンス小説の王道の仕上がりです。食わず嫌いはいけません。本日2つ目の反省でした。
1週間で9冊は私としては少ないほうです。中でも非線形に随分と時間を取られました。仕方ありません。その分野はやったこともないのですから時間が掛ります。
夏休みの私の本棚の整理でもあります。