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2012年3月12日月曜日

湯木貞一 二代目は本当に駄目なのか


この本はいつもの木犀堂さんで購入した本です。「吉兆」の名前が全国的にしられるようになったきっかけがこの本の装丁企画をした花森安治氏が湯木貞一氏のインタビューを暮らしの手帳で連載したことによるそうで、この本はその花森氏が他界した後にやっと黒の色が印刷で出来るようになって発刊されたいわくがあります。

皆様には偽装事件で名を落とし、廃業に追い込まれた船場「吉兆」を想起される方も多いでしょう。

ほら見たことか二代目はだから駄目なんだという声も遠くから聞こえていますが、実は吉兆の創業者、貞一氏も二代目なのです。それに暖簾分けをして、京都、神戸、東京とそれぞれの吉兆を切り盛りしている人たちも三代目や四代目です。みな頑張っています。

暖簾を分けるというのは、名実とも名前と精神を受け継ぐことです。目に見えない、ものこそ暖簾なのです。そのところが疎かになったということでしょう。

しかし、本当に料理を真摯に考える人にはこうした本は何物にも代えがたいよきお手本となります。

私は刺身につれる醤油とはどんな醤油が適しているのか(もちろん季節や素材で異なるでしょう)しかし、馬鹿の一つ覚えのように「たまり醤油」を供する店も、ただの「生醤油」を供する店も戴けません。

かといって煮切りにするといま一つあの醤油の香りが薄くなってしまう気がしていました。

そんな中、この本にはありました。

以下、抜粋ですーーーー

ではどうするかというと、私は日本酒にかつおを入れて、煮いてからそれをしぼり、それをたまりじょう油にに加えるか、濃口しょう油に加えるかします・・・

ポン!!なーんだ!!でもみんな知らないと思いますが・・・・???

吉兆ばなし 湯木貞一著 暮らしの手帖版 昭和57年発刊より


木犀堂の口数の少ない店主が笑うようにむなりました。大きな進歩です(笑)