ひな鳥 とよ田 自由が丘
岐阜でカシワ(親鶏)の旨さに開眼したとは言ったが、ひな鶏が不味いわけではない。関東ではもっともこちらを好むようである。確かに親鳥特有の鶏臭さはない。身は白く柔らかい。
私が自由が丘のひな鶏専門店、とよ田を訪ねたのは20年近く前になる。地元に住む知人に誘われて訪問した。
当時私は三田に住んでいた。三田と言っても慶応大学のある港区の三田ではなく、目黒のさんまで御馴染の茶屋のあった場所の近くだった。もっとも三田の地名は縁があるようで、慶応の横にある春日神社の分祀もあった。当時私は飲食店の雇われマスターもしていたので色々な店を食べ歩いた。東にカレーの美味しい店があれば出向き、西に焼き肉の美味しい店があれば足を運ぶ、まさに東奔西走の毎日だった。そんなことをしているのだから当然体重は増加し、足元もおぼつかず、まずいことになった。
そんな理由から自由が丘にあるスポーツクラブに通うことにした。私は柔道で発症した腰痛もあって筋肉トレーニングはご法度だった。だからもっぱら取り組むのは水泳だった。当時は1日1キロ近く泳いでいた。あのスポーツクラブには有名人も多かった。
NHKの大河ドラマの秀吉の主演が決まったTN氏や、女優のMH氏も良く来ていた。
そんな有名人を傍目に黙々と泳ぐ。1年近くは続いたと思うが、最後は決まって中耳炎になり、ドクターストップとなる。どうも私の耳は中耳炎になりやすいらしい。これは今も変わらない。
とよ田では鶏の部位に分けて供される。手羽、もも、ネック、手羽元、どれもその揚げ方が極上である。私は鳥だけにとりわけ??砂肝が好きである。いくつでも食べられてしまう。外側はカリッとしていて、火は通っているものの中はジューシーである。これがビールと合わないわけがない。鶏肉とビールを交互に口に運べばもう天国の心地よさだ。
それから何回通ったことか。横浜に来てからはその回数はぐっと減ったが、暫くぶりにここの鶏を食べたくなった。手羽先は名古屋が有名と聞いて数店有名どころで食した事があるが、はっきりいってこことよ田の方が数段旨い。もし東京で旨い唐揚げが食べたいなら迷わずここをお薦めする。そうそう、締めで頼む鶏スープも鶏の滋味が出ていてくせになる美味しさだ。