父親の職業が「窯業」というのが気にいらなくて二十歳を過ぎるころまで、陶磁器や焼き物の類には手を触れることさえ嫌だった。
十数年前、知り合いが猿楽町の一軒家を改築してニューヨークの「FISH EDDY」というテーブルウェアのお店を始めた。どれもポップでニューヨークらしい食器だった。残念ながら親会社の負債のため閉店を余儀なくされたが良いお店だった。これがその一部。
しかしながら知らない間に色々な陶磁器を見ていたようだ。昨年、リックのパパに勧められ初めて訪れた大阪の東洋陶磁美術館もすんなり見ることが出来た。京都の楽美術館もしかり、埋め込められたDNAのせいであろうかこのところ陶磁器に目が行く。
父親は私が幼い頃に全国の窯元を渡り歩いた。益子にもよく連れて行かれた。河井寛次郎氏にも会っていた。バーナードリーチ先生から褒められたというのが自慢だった。父の最終的目標は足尾の拘泥をなんとか製品化し、公害の種をなくしたいというものだったようだ・・・夢は叶わぬままだった。
建築の世界では私はコルビジェが好きだ。バウハウスに代表されるシンプルな建築が好きだ。西海岸のCSHをみたときも衝撃を覚えた。真っ青なLAの空とされを切り抜く建物、素晴らしかった。
個人的にはライトより彼と袂を別けたシンドラーや彼に招へいされたノイトラが好きだ。
弊社の小さな建物を普請したときにノイトラのサインを要望したが出来あがったものは別物だった。だが文句は言わない。
器は料理を入れてなんぼだと思う。使えなかったら意味は無い。妻が肉じゃがを入れたのも正解。
その点では北大路魯山人や白洲正子の感覚が好きだ。
数年前、波佐見に行った。長崎に今も残る父の建築を訪ねて。その波佐見にある白山陶器は私が好きな窯元である。よくみかけるなんでもない白い醤油さしを作っているところだ。
同じような窯元が西海岸にもある。ヒースセラミックスだ。街道沿いのダイナーや食堂で出される何の変哲もないポテッとしたお皿である。
今検討中のライフスタイルショップで扱おうと思っている。青磁のような海を感じさせる色合いのソルト&ペッパー、シュガーポット・・・自分で欲しいものじゃなければ扱わない・・・・
ノイトラのタイルは個人的にものすごく欲しい・・・・・・・・
好きなものに囲まれているのはなんとも愉快ではないか・・・・