私達はともすると「借りた目」「借りた耳」で物事を語ってしまう事が多い。
糸井さんも書いておられたけどこれ結構危険な事が多いんですよね。
中国で反日運動が起きていると言うマスコミの映像を見せられて、中国人全体に対して「コノヤロ」という感情を持ったとしたらそれは「借りた目」なのです。
逆に言えば行動を起こした中国人の多くがその「借りた目」や「借りた耳」をきちんと理解していないと言う事でもある訳です。
私は再三言っておりますが原発推進派でも反対派でもありません。ただ、総理官邸を取り囲んでデモ行進するその姿は、中国人が愛国精神のためなら人の物を棄損しても構わないと言う精神のそれに似ていて、末恐ろしくなったのです。
知り合いはそのデモのために渋滞を余儀なくされ、損失を被っているのに等の本人達は正義の行動のために多少の犠牲はやむえないということのようです。
これはデモの参加者に限った事ではなく、政治家でもまた評論家と言われる多くの人でもこの「借りた目」「借りた耳」によって物事を判断している人が多く居るわけで、そうした人の特徴は事物について蓋然的なことしか言わない。一つ一つの事はどうでもよいから全体としてはこう見るんだとという全くお気軽な発想であり、軍部の独裁により太平洋戦争の発端だとする通説もありましょうが、私は個人的に色々な資料や証言も含めて考えると、当時のそうした「借りた目」「借りた耳」が思想的に蔓延し、もはや軍部の誰ひとり実証的、検証的な物事の進め方をしなくなっていたのではないかと思えるのです。
「借りた目」「借りた耳」を脱する唯一の方法はまず実践する事です。そうは言っても忙しいし、全ての事を実践できるわけがないと反論される向きもおありでしょう。
確かにそうです。ではどうするか、結論はその事実を色々な角度で検証してみることです。
昨日、我が社の優秀なスタッフのT氏が「某ハンバーガーショップの揚げ油はラードだとアルバイトをした経験のある人から聞いたので間違いないようです」と胸を張って言っていたのである。
私はこの事実を全面的に受け入れる事は出来ない。言っていた人を疑う訳ではないし、そういう可能性ももちろんあるだろう。また、インターネットの掲示板にはその手の書き込みが多くある。
しかし、私には二つの疑問が生じた。
一つ目はトランス脂肪酸の食品添加が厳しいアメリカではラードを加工した油ならばFDAや裁判で大きな問題になるのではないか。二つ目は一般的な食品加工で使われている油はショートニング油と言って発火点の高い、固形の姿をしているのでラードと間違えた可能性があるのではないか。三つ目は当時はそうだったかも知れないが今は変更されているのではないかという疑問である。
二つ目の疑問は本人に聞かなければ為らないので解決はされないが、1つ目に対しては2005年に訴訟が終わり、トランス脂肪酸からの変更が遅れた事による数億円のペナルティーが課せられていた。つまりアメリカではすでに変更されているという事。
何故トランス脂肪酸が発生するかというと、精製している時に水素を加えることでこのトランス脂肪酸が発生すると言われている。
近年ではこの水素不添加で精製されるショートニングも多くなっている。
日本はアメリカのようにこのトランス脂肪酸の制限は今のところおおっぴらには行われていないから、アメリカの油と全く同じではないかもしれないが、全てラードで揚げているとは考えにくいのではないだろうか。
もっとも肥満大国のアメリカでは予防医学上、出来るだけ摂取しない方が良いということで、人体への明確な影響が証明されている訳ではない。これとて「借りた耳」なのである。
私なんぞ下手な合製油より天然の油であるラードの方が体に良いのではと思ってしまうが、まあ、カロリー的には問題もあろうからその点も加味しなければならないだろう。
掲示板にはゴキブリも寄り付かない、食べたら毒などと恐ろしい言葉が書きなぐられている。
えっ?これってどこかの国の日本叩きに似ていない??そうなんです、まさに「借りた耳」「借りた目」が2チャンネルを所せましと跳梁跋扈しているです。