水随方円器、人随善悪友
私自身は海外生活もなく、妻に言わせればドメスティックオンリーな我が家ですが、幸いにも私の周りには海外で華々しく働いてこられた方や今も若い人に負けずにバリバリに頑張っている友人も多く、いつも色々な面でインスパアされています。
そんな環境もあり、息子にはどんどん海外に行って色々な人と交わって欲しいと思っています。というのは息子の周りにも大変優秀でも海外での研修や研究は意味がないと折角の渡航を止めてしまう若者も多いと聞くからです。本当にそれは意味がないのでしょうか。
私の様なロートルになると全ての事象,事柄は人との出会いで始まると思っています。私の恩師が言う人の「縁」というものです。
私の仕事は色々な人の生活を垣間見ることになります。その中でいつも思うのは全ての物事が成るようにして成っているということです。
魚が住む水を選ぶように、人にはそれぞれの環境があります。そしてその環境を変えない限り、その人の成長も止まってしまうということです。
もっとも悪い環境に変われば人も悪くなる訳ですから、綺麗な水の上流を目指さねばなりません。
昨年、山代温泉のある旅館に行ってきました。そこには金沢21世紀美術館に展示してあった、方丈というオブジェが展示してありました。
ご存知のように方円器とは漢詩の「水随方円器、人随善悪友」から来ているものです。
水は器によって丸くも四角にもなるように、人間も友によって善人にも悪人にもなるという例えです。そのオブジェを見て、人の人生はその流れる水そのものだと思ったものです。それほど如何様にも変化することが出来るものなのです。
今息子はロサンゼルスに行っています。日本とは全く違う環境で、いつもの人とは違う人達と研究をしています。私にとっては研究の実成果よりこうして海を渡って、見知らぬ土地で生活し人と出会うことが彼のこれから成らせる大きな果実の養分になればと思っているのです。
そして水到渠成の言葉通りです。