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2013年4月22日月曜日

味のメート原器 イン・アンド・アウト


味のメートル原器 イン・アンド・アウト

あまりにも食に関する事を話題にするものだから、人からは飲食関係の人と思われる事が多い。確かに15年間は2足の草鞋ならぬ掛け持ちで小さな店を切り盛りしていたのだからやぶさかではないのだが、今となっては完全な趣味と思って戴きたい。
我が家の長男は美味し物が大好きである。小さい頃から味にはうるさかった。不味いものと美味しい物を見分ける舌を先天的に備えていたようである。そしてもうひとつ彼はケチである。不要な物にお金を掛けない。これは小さい頃から23歳になった今でも変わらない。

彼にはお小遣いは与えなかった。彼は必要な時はその理由を述べてその都度貰っていたからだ。彼の方からお小遣いが欲しいと言う事はなかった。

今、世の中にはグルメバーガーなる高級で見た目も豪華なハンバーガーを売る店が多くなった。そのはしりといえば1号店を青山にオープンさせ、鎌倉の若宮大路のサーフショップの隣にもあるKであろう。だが彼はこうしたグルメバーガーには目もくれない。何故なら彼の判断の基準は常にマクドナルドだからだ。マクドナルドの値段と味と比してどうなのか、これが彼の導きだした結論である。恐るべしマック!!こうして国民食マックが誕生した。

私などハンバーガーに出会ったのが遅かったので自分の基準というものを持ち合せていない。こうなるともはや根なし草である。あちらが旨いと聞けばあちらに、そちらが良いといえばそちらに移動するハチドリの如くせわしないのである。

11年前にロスに出掛けた。海岸線沿いにサンディエゴまで南下している途中に派手な看板を見つけた。矢印で入口と出口を表しているような標識と見間違う看板には「イン・アンド・アウト」と書かれていた。運転をしてくれたM子さんに導かれその店に入ると、客席はごく普通である。日本のファミレスのようである。ところが運ばれてきたチーズ―バーガーはバンズ、パテ、トマト、レタスの量が丁度いい。パテは牛肉の味がする。これならいける完食した。ポテトも旨かった。

ところがこうした普通に旨い店が日本にはない。店の名前はソウルファンなら80年代に似た曲があったので覚えやすいだろう。

おりしも、丁度その少し前。富が谷から東大教養学部の裏門に向かって暫く行った右手に簡素な木造の建物でグルメバーガーの先駆けとなったフレッシュネスバーガーの1号店がオープンしていた。こちらは完全に日本人に向けた商品である。内装はアメリカンだが商品は小振りに作って、マヨネーズを効かせたものだった。

私は考えた。これでは味のメートル原器にはなれないのだと。あのイン・アンド・アウトが小さな頃からあって食していたならばきっとメートル原器になっていたはずだ。そう思った記憶がある。



夢の記憶


夢の記憶

私はよく夢を見る。子供のころからよく夢を見た。子供のころの夢は崖から落ちる夢やスキー場にいるのにスキー靴を忘れたというような夢が多かった。

40歳を過ぎて1年間、夢の記録をとったことがある。もちろん覚えている範囲でしか記録は出来ないので全てというわけではない。

最近ニュースで夢のメカニズムが解明されたとあった。恐らく脳のどの分野で活動が活発になり、その関連性を高性能のコンピューターで前日や過去の行動からそのどの部分が合致しているのか判別しているのではなかろうか。

そんな高性能のコンピューターを使わずとも類推できるものが多い。人間の心の中に表面化しない滓のように沈んでいるものが、夢の中でその事にはっとさせられることがある。いくら良い人ぶっても人間には複雑な一面かある事を知らされる。

昨日見た夢は母が急激に老化し、その顔飄が変わり痴呆化する夢である。その原因は我が家の13歳になる高齢犬がおむつをするようになったことが影響しているかもしれない。前の犬は7歳で突然あの世に逝ってしまった。だから、介護も手当ても何もできないまま一晩で急変した。今の犬はその犬の2倍近く生きていることになる。介護を楽しめと言う人もいるが中々はそうは旨くできないだろう。ただし、介護はその犬()とのお別れの時間にゆとりを与えてくれていると思うのは如何であろう。

父が危篤で病院に向かった時にはすでにこん睡状態だった。父は満州の夢を見ていた。馬に跨りライフルを片手に馬族と対峙していた。父にとっての人生の最高の時間が最後に巡ってきたのかもしれない。それが私の唯一の救いだった
最期をみとった病院の前を毎朝私は車で通過する。神社の横のうす汚い建物はすっかり綺麗に見違えるように新しくなった。

誰でも必ずその時がやってくる。いつもは忙しさと日常生活に追われてそんな大切な犬()の声をつい簡単に片づけてしまう。だから、ほんの少し、いつかお別れする犬()に優しくしてあげられたらと思うこの頃である。焦る必要は無い、別れの時は必ずやってくるのだから・・・