生シラス 鎌倉 もんざ丸 喜楽丸
はじめに断っておくがこの二つは鎌倉で生シラス漁をしている漁師さんのお店で行っても決して食べさせてくれませんのでご了解を。
鎌倉で暮らすようになっての一番の楽しみはこの生シラスに出会えたことかもしれない。
もちろん横山(横浜の北部)でも時々生鮮食品の売り場でお見かけするが、これははっきりいって別物である。
シラス漁は3月の解禁から12月一杯までである。昨年は夏過ぎまで異常な水温の上昇も重なり、本当に不漁だった。その前の年にはたらふく食べられたのでまあ良しにするか。
それほどまでに旨いのだ。
シラスには大きく春シラスと秋シラスがある。ご存知のようにシラスはカタクチイワシの幼魚である。春シラスはまだ小さく柔らかく味も繊細であるが中々多くは獲れない。秋シラスはこれよりやや大ぶりであり時折、赤ハラというお腹が赤いものが混じることがある。どうも甲殻類の幼生(稚魚とは言わないらしい)を多く食べるとこう赤くなるらしいのだが、あまり珍重されないというかどちらかというと敬遠される。
このシラス漁というのはどうやらそれぞれの漁場が決まっているようである。いくら鎌倉で捕れないからといって腰越や葉山に行くことはない。つまり撮れる場所でも味が変わってくるようだ。どの場所も新鮮なら美味しいと思うが、私は鎌倉の海への変質的愛情も加わりこの二つのお店のシラスは特別に美味しいと感じてしまう。
このふたつのお店は微妙に違う。同じ海岸線なのだが、もんざ丸は材木座海岸商店街にあり港は材木座である。喜楽丸は由比ヶ浜海岸である。場所は坂の下。テレビで一躍有名になったあのカフェのすぐ近く。そして値段も違う。もんざ丸は一袋500円、喜楽丸は700円だったと思う。もちろん量は喜楽丸が多い。もんざ丸にしても2.3人前はゆうにある。後段するそれぞれ別の食べ方をすることも可能な量である。スーパーの雀の涙のような少しとは訳が違うから。
ここで私の失敗談から御忠告申し上げる。生シラスはいくら新鮮だと言ってもお腹を壊すことがある。これは海水に含まれている細菌やバクテリアは必ず存在するからだ。まあ、妊婦や幼い子供、病気の人は避けた方が無難である。絶対はないのだから。それともう一つ、購入してきたらすぐに氷を一杯に入れてほぼ氷点零度前後で食べるまで保存すべきである。そして食べる前に流水でよく洗う、これが鉄則である。それまでしてお腹を壊したら仕方がない、諦めるべきである。因みにこの方法をするようになってお腹を壊したことはまだない。
食べ方はシンプル。とにかく炊きたてのご飯を用意する。そしてシラスにすりおろした生姜と醤油をかけ、お好みで小葱や大葉を入れて食べる。これはまさに王道的食べ方である。もうひとつはもんざ丸のレシピにあったユッケ風である。シラスにごま油を少しかけて、生卵と小葱を加える。軽く混ぜて熱々のご飯の上にかけて、かっこむのだ。
これが旨すぎるのだ。こんなに旨いものがあったのかとひしひしと感激する事間違いない。
シラスの爽やかな香りと苦み、そのあとでくる旨みが熱々のご飯と一体になって胃袋に収まるころには二人で炊いた2合のお釜のご飯の底が見えはじめているだろう。
このお店に行く時は出来れば自転車か徒歩でお願いしたい。どちらも車を止めるスペースがないからだ。どうしても駄目ならば駐車場に車を止めて徒歩で向かってほしい。もともとこれらのお店は飲食店におろしていたものの一部を一般にも売るようになったのだから、私達のマナーが悪くて販売中止とならないように心掛けたい。そう飲食店に行く前の飛びきり旨い生シラスが買えるのだから。旨い物を手に入れるにはそれ相当の努力を。