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2008年12月25日木曜日

書評


長谷川慶太郎氏の本を2冊読みました。(昨日早寝したので早朝にイッキ読みです)

一方は田原総一郎氏との対談形式なのであまり参考にはなりませんが、私は必ず2冊並行して読みます。そうすると著者がそのときだけ調子よく言っていることなのかどうか判断できるからです。


この著者については好き嫌いの分かれるところですが(佐高信氏などは批判している)、中国の近代化評価や共産主義思想の一部を除けばかなり話は実践的です。しかしながら、日本が成長するシナリオの中で、ドル供給の増減が論じられていない点、アメリカの次期政権のリーダーシップ力、日本の製造業の過剰なまでの信奉などの点は甚だ疑問です。しかしながら、「ドルが下がったのではなく、円だけ下がっていない」という点は私には盲点でした。円ドルベースしか見ないのでついドル安と勘違いしてしまいますが、実際に2007年12月と対比するとドル77.3%、ポンド60.16%、ユーロ77.3%、オーストラリアドル63.9%、ウォン56.6%となります。逆に言えば金融恐慌の中心であるアメリカのドルの値下がり率は少ないという評価になります。これは裏を返せばアイスランドがIMFに援助を申し出た一件を見ても、基軸通貨としてのドルを保有していなければ貿易さえ行えない(この場合は漁業用の燃料などの購入)事例が指し示すとおり、基軸通貨としてのドル機能は普遍ということになります。


アメリカの次期政権は死に物狂いで経済対策を行うでしょう。そして公共事業や社会保障など法律を変えてでも生活の安定に努めるはずです。その結果ドルは増刷され供給量が著しく増えるはずです。

当然そうなればドル安が加速はずですが、そこに基軸通貨としてのドルの機能が重なり単純にはそうならないのかもしれません。この本の著者のように104円、105円安定にはまだ程遠いでしょう。当面行き場を失った世界マネーは東洋の国の周辺に漂いそうな予感がします。

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