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2010年6月21日月曜日

競争と公平感

この中公新書から刊行されている本書はなるほどとうなづける内容です。

トヨタの元会長でありまぎれもなく日本の経済界の牽引役を務めていた奥田 碩氏は講演の中で「そろそろ日本も嫉妬から称賛の経済に変わらなければならない」といって久しい訳ですが、一向にそうなるどころか今の若い世代にはあきらめにも似たムードが漂います。

車は持たない、贅沢はしない、洋服は買わない、残業はしない、飲み会にはいかないこんな若者が増えています。

この本ではアンケートを通して、市場経済を望ましいと考える人が49%しかいないのです。この割合はインド、中国、ロシアを含む主要13カ国中最下位なのです。

所得の格差は本人の努力だけでなく、運によって左右されると考える訳です。運や学歴、才能、家庭環境など本人の努力以外によって所得に格差が生じるのは不公平と考えるのだそうです。

そういった心持は勝者になれば謙虚になり、敗者になれば感傷に浸り、他人の勝利には嫉妬し、他人の失敗には同情を示すのだそうです。

この国民的性格が競争を避け、市場嫌いを作り出し、世の中の閉塞感そのものになっていると著者は見ています。

私から見れば能力のあるものが、さらに努力して結果を残すのに、能力の無いものが努力を嫌い結果が出せないと、ホザイテいるようにしか見えません。

井の中の蛙こそ卒業するべきです。

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