あざみ野のカボスにて衝動買いです。
お金もなく、ただ暇を持て余していた十八の頃、ラジオから流れてくる音楽と城達也さんの朗読が旅情をかきたてました。
その十八歳の青年はこんな詩に巡り合います。
思いがけず、フリーウェーの出口で花売り娘だ。
何てロサンゼメス風な夕暮れ時。
帰宅を急ぐご亭主が、ブレーキを踏んだついでのの浮気心。
家内の喜ぶ顔見たさに、と、言い訳には事欠かない味な買い物。
若い娘が、愛嬌と一緒に抱いた花束が
我が家を前に、ほっと一息の心の隙に忍び込む。
白粉っ気のない顔に、ひっつめ頭。
Tシャツの胸のふくらみや
Gパンもはじけそうなお尻が、
もう充分に女だからって、
雀斑だらけの、お色気ぬきの娘っ子さ。
ご亭主は、余裕綽々。
父親みたいな微笑を浮かべて、
「ツリはいいよ」と窓越しに受け取る花束一つ。
その筈なのに、それだけの筈なのに。
娘の笑顔に年甲斐もなく胸はずませて、
これは叉どうしたことか、
心残りのアクセルを踏み込みながら
明日もあの娘がいればいいが、なんて・・・・・・
1976年 ON AIR ジェットストリームにて
それから数年後青年はわずかなお金を握りしめて初めてアメリカに行き、ロサンゼルスに旅するのです。
人生とは長い旅路のようなものさと口癖にするのはそれからずっと後のことです。
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