フレンチ・クォーター
フレンチ・クオーター
ヒロの港近くの街で
ワインを汲みながら、隣のテーブルの打ち明け話を聞いていた。
優しい男たちに囲まれているいることが
人並み以上の幸せと一緒に、不幸せをもちらすに違いない、とか・・・・
愛する人に限って、深い間柄にならないものだ、とか・・・・
時に誘惑者の目が澄んでいることがある、
といったようなものだ。
痩せて、性的な魅力の乏しい娘に見えたが、
古いレンガの壁を背にした、青白い顔と真っ赤な唇が
屋敷のひっそり咲く花のように思われた。
それから何時間かして、
夜明けの船着き場を見た帰り道、
堤防のほとりのカフェに入ると、
墨のテーブルで、あの娘むがただひとり手紙を書いていた。
四角いドーナッツのパウダーシュガーにむせて、
慌てて飲んだ苦いコーヒー。
長い長い手紙を書いている娘を見ながら、
眠りそこねた朝を見とどけようと、
カフェが混んでくる時間まで、
そこに座っていたのだったが・・・・・・。
JET STREAM 1976.2.23 ON AIR 一部改定
写真は大好きなブルース・ウェーバーの写真集よりお借りしました。
本文はニューオリンズで船着き場ではなく、ミシシッピー川です。もちろんニューオリンズはニュー・オルレアンからです・・・・・
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