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2010年12月2日木曜日

脳と疲労  CFS ME PVFS

とある医学博士の肩書を持つ相手との会話で私のロードバイクの話になり「年を取ると筋肉の疲労が早く乳酸が貯まりやすいから困ります」といったところ、

相手は困惑顔で笑いながら「最近の研究では乳酸が悪ものとは決めつけられないようです。疲労と疲労感には脳という大切な要素があり、現在はそのあたりが研究の中心のようです」「乳酸はもはや疲労回復概念の起点のようです」

それは知りませんでした!!我々が当たり前だと思っている知識はもはや古臭く使い物にならないとは恥かしい限りです


まず疲労疲労感とは違うと言うことです。毎日毎日疲労が蓄積し、夜眠って翌日には疲労が取れたと思っていても、実際の疲労は蓄積し、体に様々な症状を引き起こすことがあるようです。つまり脳が感じる疲労=疲労感と実際の疲労が必ずしも一致しないからです。このようにして継続的に疲労が続き体中に色々な症状が現れるようになるとそれを「慢性疲労症候群」と呼ぶようです。この疾患の概念はアメリカで生まれたので、英語 Chronic Fatigue Syndrome や Myalgic Encephalomyelitis(筋痛性脳脊髄炎)、 Post-viral fatigue syndrome(ウイルス感染後疲労症候群)のアクロニムからCFS、ME、PVFSと呼ばれるようです。

そしてあらたにその慢性疲労症候群が引き起こす、不眠、抑鬱、倦怠感等で年間数万人が自殺や重症化により社会的問題になっていることもあり、新たにこの慢性疲労症候群かどうか疲労を視覚化しようという試みが始められています。以下厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)分担研究報告書より抜粋です

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A. 研究目的



「疲労」は休みなく心身を使うことによって生体機能に障害が生じた状態を、「疲労感」は疲労を脳が主観的に定量する感覚を指す。 「疲労感」は、報酬や、やり甲斐などでマスクされ易いため、「疲労感」のみで「疲労」を定量しようとすると、様々な問題が生じる。そこで、「疲労」を客観的に測定するために、疲労によって変化する生体のバイオマーカーを発見し、これを利用して疲労を測定する様々な方法が検討されている。我々は、疲労を客観的に測定するために、「疲れるとヘルペスという水泡が唇にできる」という現象に着目した。 この現象は、通常は宿主の体内に潜伏感染しているヘルペスウイルスが、疲労によって宿主の危機が生じると再活性化し、他の宿主を求めて体外に放出されるという現象である。ヒトのヘルペスウイルスは8種類知られているが、この中でも労働による疲労にはヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)が良く反応することが判った。 これは、疲労の客観的測定法の開発原理として利用可能であるので、唾液中HHV-6測定による疲労の客観的測定法の開発に着手した。一方、HHV-6が疲労に反応して再活性化するということは逆に、疲労によるヘルペスウイルス再活性化のメカニズムを解析すれば、疲労の分子メカニズムを解明することが可能となることを示している。数年前に乳酸が疲労物質でないことが明らかにされてから、疲労の分子メカニズムは、返って謎となった。 我々は、HHV-6の再活性化機構を詳細に検討することで、疲労因子を同定している。この因子は、マウスに不眠や水泳などによる疲労を与えると様々な臓器で発現が亢進することと、この因子を遺伝子導入によって発現を誘導すると、マウスの自発運動量が低下することから、疲労という現象の中心的な働きをする因子であると考えられた。また、この因子の働きを抑制する因子も疲労負荷によって発現が亢進することが判り、この研究が、疲労のメカニズムの解明や疲労回復法の開発を可能にするものと考え、今回の研究課題とした。

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しりませんでした、多くの人が元々持っているヘルペスウィルスが介在していたとは、それも通常ではウィルスは宿主である細胞を殺さないために数を増やさずにいるのであるが、過度のストレス等に継続的にさらされると数を抑制する因子が働くなくなりウィルスは増殖を続けて細胞を死に至らしめ、ウィルスが沈む舟から新しい船に乗り換えるというのは面白い話です。

我々が常識だ恒常的だと思っていることの本当はいくつがそうなのでしょう。ひょんなことから私も一つ学びました。参考にしたのはこんな本です。


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