高校生の頃の愛読書と言えば庄司薫だった。仲のよい親友数人と彼の本を読んでその場面を共有していた。
田舎者の高校生は当時の東京での大学生の華やかな生活と政治や思想についての友人たちとのあけっぴろげの議論に憧れを抱いていたのかもしれない。
庄司薫は丸山眞男の最後の生徒だろう、彼は当時大学生で小説を書いていた。当時文Ⅱ(今の文Ⅲ)に入学するも成績優秀で文Ⅰに転部した。私は彼がかっこいいと思った。
デビュー当時、武田泰淳氏らには評価されるも、三島由紀夫には疑念を持たれる。しかし、最後には三島も認めた。
彼の作品がサリンジャーと似ているといわれることがある。あの独特の口語表現である。
私達にはそんなことはどうでもよかった、私達の近い目線で世の中を切り取っていた。
東大には行くことも志望校として書くことも憚られたが、憧れは強かった。同じ空気を吸いたかったからだ。
私達の頃には学生運動は下火になり、私立のいくつかの大学で辛うじてプラカードが残る有様だった。
丸山眞男に直接会っていた、Rパパから当時の雰囲気を聞く、羨ましい限りだ。
私達の頭上を学生運動という大きなエネルギーの通過した後の何にもないキャンパスで大学生活を送った。
後年、庄司薫が美人ピアニストと結婚した。やるな、と思った。
その後バブルで借金は膨れ、株や投資で大失敗をしたと聞く、普通なら破産していてもおかしくない。しかし、それも完済したと聞く・・・これもかっこいいではないか・・・・
いつまでも私達、昭和の青春のヒーローなのだ・・・
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