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2012年11月20日火曜日

餃子 アムールの虎


餃子 アムールの虎

餃子は我が家では定番メニューである。何故なら、我が家の餃子より美味しい餃子はそうそうないからである。とまあ空威張りしても食べて見なければ分からないのは当然といえば当然である。

私の父は中国語を流暢に話した。話している言語は北京語だそうである。父は戦前、大陸に長いこと暮らしたようである。家には5.6人の家政婦がいたというからそれ相当な暮らしぶりだったようだ。軍の関係の仕事もやっていたようで、ドイツのルガーという細身の拳銃も所持していたというから、危ない仕事だったのかもしれない。臨終の床に就きながら父は紛れもなくアムールの虎を見ていた。それが父の輝かしい記憶だったのだろう。

父は私が幼い頃、時折、料理を作ってくれた。

当時私が住んでいた街では今のように中華料理に使う専門の調味料など手に入らなかった。父は有り合わせの物を使って工夫して作っていたようだった。

よく作る料理はジャージャー麺、豚挽き肉と牛蒡の炒め物、そして餃子だった。ジャージャー麺にいたっては手にいれにくい中華麺を使わずにどこでも売っているうどんで作る。もっとも我が家では今でもジャージャー麺はうどんと決まっている。

牛蒡の炒め物はものすごい量を作って食した。あちらでは年末にこの料理を食べて腸をすっきりさせて新年を迎えるとか言っていたが、確かにお腹の具合はすこぶる快調になる。

 父が作ってくれた餃子はにんにくを入れず韮を沢山いれたものだった。豚肉と椎茸、キャベツに韮のシンプルなものである。キャベツは茹でずにそのまま入れていた。それを母親と私がせっせと包んでいくのだった。

今の我が家の餃子は大分アレンジされた。まず、キャベツは茹でてよく水を絞る。春雨と筍も加える。韮はいれるがにんにくは入れない。あとは下味をつけていく。

我が家では餃子といえば100個以上作る。餃子の日は餃子しか食べないのだ。軽くご飯一膳程度空けておくつもりでも餃子でお腹いっぱいになってしまうのだ。

宇都宮だの浜松だのご当地餃子花盛りであるが、未だに我が家の餃子を上回る餃子を食したことがない。もしかしたら、我が家ではDNAの中に餃子DNAなるものが組み込まれ、その味でないと味憶の中枢が覚醒しないのかもしれない。

娘から妻にメールが来た。餃子を作って送れという指示である。妻は早速、冷凍品を入れるタッパウェアを調達し、餃子皮を5袋と材料を買いに走った。娘と旦那とお腹の子にDNAを送るためである。
 
少し焦げ過ぎた感の歪めないのは私が本にうつつを抜かしたからである。それにしても旨い・・・ビールはもう4本目か・・・・・
 
 
 
 
 

 

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