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2013年1月9日水曜日

ハムカツサンド 戸部 開勢堂ベーカリー


ハムカツサンド 戸部 開勢堂ベーカリー

私の生まれた北関東の街には新盛堂というパン屋があった。今はなくなってしまったようだが、高校生の一時期アルバイトをしたことがある。どういう理由でアルバイトを始めたか仔細は思い出せないが、とにかく一時期ここで働いたことがある。
店は1軒半ほどでガラス製のショーケースが間口目いっぱいに据え付けられていた。そのケースの中には焼きそばパン、コロッケパン、サラダパン、そしてハムカツパンなどの総菜パンが並べられていた。
私は今でもキャベツの千切りが得意である。実はこの時に、今まで料理をしたこともない高校生が毎日毎日キャベツの千切りをしていたのである。キャベツの千切りにはコツがある。キャベツを外側から一枚ずつ使ったり、スライサーで千きりにする横着者がいるようだが、あれは良くない。大体、キャベツの外側と内側では味や食感も異なる。これらを上手くミックスしなければ美味しいキャベツの千切りにはならないのだ。そして芯の部分が実は一番甘いのだ。この部分も細く千切りにして使うのだ。つまり捨てるキャベツの多い人は千きりが下手という訳だ。同県の北部に一大生産地が広がるところでもあり、また赤城山の山麓でも栽培していたので安価で手に入りやすかった理由もあろうが、とにかく毎日沢山のキャベツを使っていた。
当時の肉屋にはコロッケとハムカツが主流だった。トンカツなんて高根の花、ショーケースになんて並んでなかった。せいぜいメンチカツが大将の様なもので、市民プールの帰り道胃袋を満たしたのはコロッケとハムカツだった。この頃、コロッケはまだしもハムカツはとんと見かけなくなった。あの薄くて弱弱しいハムカツこそがあの頃の私の様で懐かしいのに。
横浜の下町である戸部駅の近くを通り過ぎた時、昔ながらのパン屋を発見した。丁度、国道16号線と並行して走るJRの高架を少し入ったところだ。昔ながらのガラスのショーケースには私の思い憧れていたハムカツサンドがあった。店の名前は開勢堂ベーカリーとある。私は愛車を坂の途中に停め、ハムカツサンドを2個買い求めその場でコーヒー牛乳と共に食した。一瞬で昭和にタイムスリップしたのは言うまでもない。



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