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2013年1月30日水曜日

カレー 芭蕉 桐生

カレー 芭蕉 桐生

これは旨かったとか、素材うんぬんという手合いの話でないことをまずお伝えする。何故ならこの店は私の遠い記憶の産物だからだ。それでも昔と変わらず現存しているという。

2年前にテレビで取材されていたところを私は偶然目にした。土壁の中に棟方志功氏の直筆の絵が発見されたと言うニュースだった。そもそもこの店にはよく父親に連れて行かれた。私はその近くに合った中華店か市内に唯一あったデパートの大食堂に行きたかったが、父親がここにすると一人で決めていたから従うしかなかった。父親とここの店主が懇意だったようである。父親はその当時作陶に没頭していた頃である。当時の父は益子焼きに代表されるような人の手のぬくもりのあるような所謂民芸に代表されるような作品を作っていた。今でもこの店の食器はそういった風合いのものを使っている。おそらこの時も数点買い上げて戴いたのではないか。

この店は土蔵を改装して店にしてある。蔦のからまる外観は相変わらずだ。店内は薄暗く店主の好きな物が至る所に置かれていた。子供心にお化け屋敷だと思っていた。父が注文するのが決まってそこのカレーである。私もそのカレーを食べるわけだが、はっきりいって5歳にも満たない子供にはここのカレーはスパイシー過ぎた。家で作るカレーとは全くの別物だった。今の辛い物好きはこの時から始まったのかもしれない。

父も当時NHKの取材を受けていた。その音声はダフネ版として残っている。その中でバーナードリーチ先生から薫陶を受けたと言っていた。私は幼い頃、親の職業欄に窯業と書かれるのが恥ずかしくてたまらなかった。みんなのように会社員ならどれほどほっとしていられたか、それに窯業を説明するのがとても難しかったから尚更だった。

今の私も家守という訳のわからない職業である。歳を取ると似るのかそれとも刻み込まれたDNAにその残滓があるのか定かではないが。
 
 


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