金融危機発祥のアメリカより大幅にGDPが下がった日本ですが考えてみれば当たり前のことです。
日本は私が小学生の頃まで1ドル360円の固定相場制だったのです。(小学生の夏休みの宿題でこれを取り上げた記憶があります)つまり、戦後暫くの間、大幅な円安をアメリカが受け入れ、輸出を伸ばし国力を増強しました。しかし、この変動相場制への移行に伴い、国際競争力を付けていなかった産業は淘汰されました。その後、イノベーションと国内需要の喚起に伴い、産業界全体は押し上げられましたが、これは今の中国やインドと同様で、西欧文化への憧憬から国内需要=人々の欲求を満たしていった訳です。よく言われる3種の神器や新三種の神器などが好例です。
この後、西欧諸国の日本バッシングが続き、まるで少し前の中国と同じです。数度の石油危機や、バブルなどを経て、浮き沈みはあったものの経済は成長しましたが、そのポジションは昔のままです。円安をいいことに輸出主体な産業構造は貪欲な利益追求を続け、より効率的な経営を良しとしたのです。つまり、日本よりずっと安価な労働力を持ち、かつ巨大な成長市場を持つ中国の台頭に対して、何ら危機意識を持っていなかったのです。それどころかコスト削減のために、生産工場をこの中国に移転した企業の多くは、そのノウハウさえ手放してきたのです。つまり売れる品物なら何でも良かった訳です。次の四半期はさらにGDPが下がるでしょう。売れる品物は、売れた品物です。これから売れる品物ではありません。
インドのタタ自動車が20万円の自動車を売り出します。台湾のpCメーカーが4万円のPCを売り出しています。こうして「ダウンサイジング」して作られる製品を、質が悪いから、機能的に劣るからと評していた日本のメーカーはすでにその時点で負けているのです。
日本は「ガラパゴス化」していると言われます。世界的に見て孤立してしまっていると、では何故今まで売れたのでしょう?答えは簡単です。円安だったからです。
ビル・エモットが「陽はまた昇る」という本を著しています。21世紀も日本は持続的成長を続けていくだろうと。本当でしょうか、昨日の我が国の財務大臣のG7後のしどろもどろの発言を海外メディアが馬鹿にしていました。現在の政治の凋落振りを見るにつけ、若い人には政治や経済を勉強して欲しいと思っています。若い世代の志ある「チェンジ」に期待するだけです。
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