福岡伸一氏の「動的均衡」の書評です。分子生物学者が著したものとしては一般の我々でも大変読みやすく、一方アカデミックさに欠けるとも感じられました。
生物とはこの「動的均衡」にある状態だと結論していますが、面白いのは世の中に蔓延する健康志向の愚かさ(コラーゲンや各種サプリメントの無意味さ)や逆にトリプトファンという必須アミノ酸は細胞内の関門を通過する可能性があり、過ぎたるは及ばざるのごとしのようです。
気に掛かった箇所です。
「サスティナブルとは、常に動的な状態のことである。一見堅牢強固に見える巨石文化は長い風雨に晒されてやがて廃墟と化すが、リナベーショナルを繰り返しうる柔軟な建造物は永続的都市を造る」
「かくして私たちは極めてシンプルな箴言に出会うことになる。アンチ・アンチ・エイジングこそが、エイジングと共存する最も賢いあり方だということである」
「ロハスの考え方は、禁止したり、命令するものではない。むしろ、私たちの考え方にパラダイムシフトをもたらすものだ。そのシフトとは端的に言えば、線形性から非線形性へということである」
分子生物学の分野に限らずこれらのことは建築や都市デザインなど多岐に援用可能な気がします。
彼によると胃や腸は体内ではなく、外界にあたるそうです。その意味では人間は考える管というそうです。面白い表現です。
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