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2011年2月26日土曜日

群盲象を評す KBS


Sパパが今回の金融危機においてマスコミや評論家の多くがこの「群盲象を評す」のように論していると言っていましたが、今回のSパパの講義はそれらの細部のパーツを繋ぎ合せて全体像を浮かび上がらせるというものでまさに副題にあったように「現場からの証言」と言えるものです。

考えてみてください。A・クリーンスパンと一緒に食事をしたことがある人や切れ者といわれるM・スタンレーのJ・マックを実際に知る人は果たして何人いるのでしょう。この点においても多くの経済評論家とは格が違います。さらに佐藤隆三氏に実際に教えを請うたとは驚きです。私なんぞ先生が訳されたハルヴァリンの「入門ミクロ経済」でも難しくて理解できないのですから。

結論としてSパパはGDPと金融資産と不動産の指標を見ればバブルかどうかある程度理解できると言っていました。その通りです健全な経済成長なしに分母が肥大することこそバブルの前兆なのです。そして日本の山一の日銀特別融資と田中角栄の英断を対比させ、その元凶は機能しなかったFRB、証券監視委員会、財務省官僚にあると断罪しておられました。拍手ものです。

講義の出席者は息子や娘よりさらに若いKBSの院生です。Sパパの現場の話に皆目を輝かせていました。まさに「驥尾に付す」とはこういうことです。

学長がいっておられたように歴史のあるMBAなので出来る所業です。歴史が無ければ出来ません。それでも今回の講演はそのこけら落としとのことです。

最後の質問のところでは今回の金融危機においてその時現場にいた若き女性より、実際に制約が可能なのか?さらに政治的決断についての質問を受けていましたが、Sパパは質問趣旨を尊重し、このポリティカルイシューとしての難しさを認めていました。ポルカールールの実際についてです。そして政治的決断の難しさにおいてSパパがA・グリーンスパンのirrational exuberance=根拠なき熱狂を再度持ち出し、当初肯定的に解した理由をそこにあると言っていたことはさらに洞察の深さを感じるものでした。

そして最後にパラッと配られたレジュメに今回の金融危機の本当の真相が綴られていました。そうですグローバリズムの警鐘です。「レクサスとオリーブの木」「富の未来」「フラット化する世界」これらの本を全部読んでも中々この言葉は出てきません。ということで最後にSパパのこのレジュメをご紹介します。

グローバリズムへの警鐘

◆「グローバリゼーション」は、世界市場の開拓によって、すべての国々の生産および消費を国籍を超えたものにかたちづくった。グローバリゼーションは産業の足元から国民基盤を取り去って、反動主義者たちを大いに残念がらせた。非常に昔からの国民的産業は絶命されたし、なお日々に絶滅されている。これらは新しい諸産業によって駆逐され、新しい諸産業の導入はすべての文明国民にとって死活問題となる。

◆これらの新しい諸産業は、もはや国内産の原料ではなく、きわめて遠い地帯に属する原料を加工するものであり、またそれらの製品は単に自国内だけではなく、すべての大陸で同時に使用される。国産品によって満たされる古い需要の代わりに、きわめて遠い国々や地帯の生産物で満たされることを求める新しい需要が現れる。

◆古い、地方的および国民的な時速と孤立の代わりに、諸国民相互の全面的交易、全面的な依存が現れる。そして物質的生産においてと同様に、精神的生産においてもそうである。個々の国民の精神的産物は共同の財産となる。国民的に一面性および制限性はますます不可能になって、多くの国民的および地方的な文学から、一つの世界文学がかたちづくられる。

◆グローバリゼーションは、すべての生産用具の急速な改善により、かぎりなく容易になった交通によって、すべての国民を、もっとも未開な国民をも文明へとひっぱりこむ。


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こうしてFTAや司馬遼太郎と村上春樹論を考えるとその何故の根底に流れている大きな渦が分かってくるのです・・・

写真は講演前の会場の様子です。パワーポイント見事に駆使されていました!!

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