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2010年1月8日金曜日

結界としての河

河川というのは時としてあの世とこの世を隔てる「結界」として象徴されます。

京の鴨川などその好例で、平安時代には邪鬼が跋扈すると言われました。当時の人は死を忌み嫌い(だから今でも忌中として張り紙をする風習が残っています)死んだ人は家に置かず、そのまま鴨川まで運んだそうです。

京都以外でも古い鎌倉の滑川には無数のしゃれこうべがあっという記録もあり、谷戸になっている逗子トンネルのあたりは丁度高台の崖から死人を落としていたそうです。今も焼却場があります・・・・

また河川の周辺には階級的には最下層といわれる多くの人々が暮らしており、そのことが一層、川というものを結界の象徴と偏見してみなされるようになったのかもしれません。

そんな風に河川というものを眺めてみると、いろいろな景色が見えてきます。川の近くは便利です。しかし一度洪水となればひとたまりもありません。そんな危険を冒しながらも川の周辺で暮らす人の知恵がいつしか産業を勃興し、経済を発展させたのだとしたら、これも一つの歴史です。

私たちの価値観は明治維新にリセットされこういったそれ以前の宗教観、歴史観は薄くなっています。

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