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2010年7月9日金曜日

リフレ政策 流動性の罠 量的緩和 インフレ目標

以前不況下では貨幣量を増大させてもその金融政策は効果がないと指摘したグルーグマンの「流動性の罠」について説明したことがあります。

このところ候補者の一部にリフレ政策について言及している人も多く、この難しい政策について一考察してみたいと思います。

まずリフレ派とはどのように定義されるべきでしょうか。極論をすると金融政策により景気回復が出来ると考える人たちのことです。この政策の中心は「量的緩和」です。

リフレ派に反対する人たちは何故、リフレ政策に反対するのでしょう。彼らは量的緩和では景気回復できないとしている点にあります。これは不況下では「流動性の罠」に陥っている訳ですから当然です。

しかし、現在のリフレ派はもっと拡大解釈し、「インフレ目標」を政策として上げています。インフレ目標とはいうなれば日銀やFRBが「もっともらしく国民に景気は良くなります、国民の皆さん信用して下さい。」そして国民は信用して景気が良くなるという仮定の話です。グルーグマンのこの話をリフレ否定派は「嘘をついても国民は信用しない」としている。つまり国民は疑っているという訳です。

リフレ派はこれに対して、国債を発行して日銀に引き受けさせ、財政赤字を穴埋めすれば景気回復効果があるとしている。

ここで皆さんはリフレ派が当初唱えていたマネタリズムによる景気回復から大きく進路を変え、財政政策に舵を取っていることに気づかれるはずです。

この点においては両派とも決して間違ってはいないのです。ただし、これは日本一国のお話です。

現在のように世界経済が瞬時にリンクし、世界中のマネーが奔流している状況をマクロ的に捉えれば国債の乱発は日本の国際社会における信用力を低下し、ギリシャやスペインのように貨幣、国債の信任力が失われる危険を孕んでいます。

さらにリフレ派の問題なのは、そもそも財政政策を先鋒していないので議論をここで止めてしまいます。それと同時に行わなければならない減税という財政政策に言及しないことです。

私はリフレ派を完全に否定している訳ではありません。ただ、このあたりを注意深く確認する必要があります。

テレビで有名なK女史が菅総理にリフレ派のいう量的緩和のみ提唱し、それに対して菅総理は取り合わなかったようです。当たり前です。正しい判断です。その後K女史は署名活動を始めたようですが、問題はずっと先にあるのです。

難しいことは除いてこの3点がそれぞれデフレに及ぼす影響を考えてみましょう。

国会議員が財政健全化と言ったらそのままではデフレは悪化します。国会議員が赤字の穴埋めといったらデフレはそのまま残ります。国会議員が大規模減税といったらデフレリスクは減少するものの、財政赤字は増大します。しかし、最後の選択肢に合わせて量的緩和、インフレターゲットをすることがリフレ派の進んだ矢印と反リフレ派の矢印の結節点なのです。いわば両論ともスタートが違うだけで、今の日本の現状を考察すればそれ以外にないのです。ただし、リフレ派では国債の信任低下を招くのであくまで矢印の方向は反リフレ派の方法となるわけです。

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