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2010年7月13日火曜日

西江雅之 時間と空間


西江雅之氏という文化人類学者をご存じでしょうか?

一風変わった人が多いのがこのジャンルの先生には多いのですが、もちろんこの先生も例外ではありません。自ら「猫になりたかった」などと言っています。

先生の専門は、アフリカの言語、中でもスワヒリ語の分野では第一人者なのです。

著作も多く、ここに挙げたものはごく一部です。

先生は時間や空間の概念について面白いことを言っています。

時間と言うのは文化によって異なり、言うなれば「文化の檻」のようなものだと・・・・・

面白い話がのっています。ご紹介します。

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東アフリカのある国に滞在中に町の役人に地図が欲しいと言ったときのことです。

その真面目そうな青年は地図を持ってきてくれた。

しかし、その地図には何々植民地という文字が印刷されていた。

私はこの地図は古いというと、その青年は「新しい」と答えるのだった。

この「古い」「新しい」の押し問答は暫く続き、青年は「今買ってきたばかりの新しい地図なんです」というのだった。

なるほど彼にとっては買ってきたばかりだから新鮮な新しい地図を持ってきた訳だったのである。

ここで自分の新しいと青年の新しいの違いだったのである。

小学生くらいの子供に、今作ったばかり鎧と2.3年着こんだポロシャツを見せて、どちらが古いいか尋ねると大方鎧を指すのである。

これは日本人の頭の中には知識を先行させて判断することが無意識に付いているようである。

この話は機知に富んでいます。時間という概念はそもそも絶対的には存在などせず、我々が作りだしているものだということです。音楽が時間を伴うというのも我々が思っていることで、本来音楽は空間的広がりしかもたないものなのかもしれません。一風変わった文化人類学ですが実生活に役立ちそうな話が満載です。是非、一読あれ。

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