医療に従事している医師や看護師、高齢者施設に働いている人たちを除いて、人の死に立ち会うという経験は普通の人にはそう多くないと思います。肉親の死や知人の病院での死を見取ることはあっても今生きていた人間があっという間に死んでしまうその場を見ると言う経験は特に少ないのではないかと思います。
私だって生まれてこの方、一回きりです。そのお話です。
小学生の6年生の頃、幼い頃よりスキーをやっていた私は、春先(4月頃)谷川天神平スキー場に行きました。早朝に着いてしっかり滑ったので昼食後、ロープウェーの下を滑って山麓駅に向かうルートは止め、ロープーウェーで下山しました。
山頂駅でロープウェーに乗るか、滑って降りるか迷っていた若者の集団は結局、滑って降りることににしたようです。
ロープウェーに乗っていた私達は地鳴りのような音がどこからともなく聞こえ、下を見ると両脇の山から夥しい雪の煙が谷底に向かっています。その先を滑っていた数人を瞬く間に飲みこみました。
本当に一瞬の出来事でした。
帰宅して何となくその事を母に話す気になれませんでした。
しかしテレビのニュースでは天神平スキー場で雪崩に巻き込まれ3人が死亡したと報道していました。
このとき幼い私が感じたのは人間というものの生命のはかなさです。此岸と彼岸といいますが、この二つはとても近い所にあるのだなと思ったのです。
人生は有限です。早朝の驟雨でふと昔を思い出しました。
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