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2011年2月23日水曜日

宿題提出

Sパパが講演の前に会場の聴視者であるKBSの方と同窓の大先輩方に出されていた宿題です。宿題は忘れた事のない私ですから(笑)、いの一番に提出しました(笑)もっともSパパの講演を聞いた後では、それこそ目からウロコノ発見もあるでしょうから、それはそれとして宿題の提出です。

質問1 2008年の金融危機では1930年代の世界恐慌が懸念されたが何故それは起こらなかったか?




<私 見>
今回の金融危機と1929年に始まった世界恐慌のどちらがその深刻かは歴史の証人でもなく分かりませんか、そもそもの発生において構造的な違いがあるように思います。世界恐慌の頃、金融機関(当時の中央銀行は民間)が「信じ、維持したい」と思っていたのは金本位制です。これについてはFRBのバーナンキも世界恐慌の原因はこの「金本位制」だと言っています。金本位制はケインズが前時代の亡霊といっている制度です。これに当時一部の銀行家が執着したあまり特にアメリカにおいて傷を深くしていった訳です。そしてその裏側には各国の貿易の渦動流動性が存在し、各国に 飛び火していった訳です。
 一方、今回の金融危機は国際資本投資の焦げ付きが危機をおこしているのであって経常収支、貿易収支には何の問題もないのです。いわば資本収支上の問題です。この点が世界恐慌とその成り立ちにおいて大きく異なる点だと思えるからです。
 では何故、金融危機がこのくらい(この先はわかりませんが)で済んでいるのかといえば、(これから先は完全な私見となりますが)ケインズの残滓と呼べるものがわずかながら存在していたのではと考えます。残滓が最後の徳俵で踏ん張った訳です。つまりIMFとFRBのことです。IMFはご存知のように金本位制への逆行をさせないために、作られた組織です。バンコール勘定は採択されないまでもケインズが唱えていた投機抑制機能(ドルと各国通貨の交換比率を一度決めた場合、IMFの承認が必要)を有していました。一方、FRBの対応にも差異があります。世界恐慌の時は後手にまわり、1929年の恐慌後、アメリカ金融機関の連鎖的倒産が起こるのが3年後です。FRBはその間何もできずにいたのです。グリーンスパン、バーナンキ氏の賛否は分かれるところでしょうが、それとてスピード感は当時と比べ物になりません。こうしてマルクスのいうところの「大金融業者と株式仲買人たち」の力をかろうじて封じ込めていたのです。
 しかしながらそれとて1980年代以降の金融自由化により風向きは変わり、収益重視なよりリスキーな貸付へと変貌していき、結果今回の金融危機を招いたとなる訳です。このように述べるとこのまま何とかなるのではという希望的観測も生まれますが、私はもっと深刻になると考えています。それは当時失業者が溢れても当時のアメリカや日本はそれを吸収する内需を備えていたからです。それが現在では特に製造業の空洞化は顕著です。失業者を吸収する状況にはありません。さらにゼロ金利を続けるアメリカはいくらFRBが否定しても、世界的な金余りの状況に加担していることは確かです。このような中いくら国民を刺激しても、実物を購入しない、デフレスパイラルが形成されています。過去2回の恐慌はいずれもデフレ下で起っています。今回の金融危機が時間を掛けて恐慌にならないとは言い切れないのです。


質問2 高度経済成長を続けている中国経済にバブル発生の懸念はあるのか?


<私 見>
中国においてすでに資産バブルは実際に起こっていると思います。上海の知人も住宅の価格が上がり今ではもう取得できない金額になっていると言っています。資産特に不動産のバブルは北京や上海などの大都市では確実に起きていますし、中国政府が価格抑制策として投機的売買規制を進めていることなどはその一端です。一方、世界的金余りつまり過剰流動性により中国では様々なインフレも起きています。これもバブルの特徴です。
 しかしながらここで注意しなければならないのは、中国という国の政治体制です。強健な政府はバブル抑制のためにあらゆる手段を講ずることが出来ます。この点が我が国とは大違いです。つまりバブルの芽を早く強力に摘むことができるのです。そしてもう一点はアメリカや日本と違い中国の貯蓄率がGDPの50%という高さを持っていることです。アメリカの貯蓄率の低さはご存知だと思いますが、高いと言われた日本も近年低下していると聞きます。中国は依然高い貯蓄率です。貯蓄率が高いとどうなるか。これにより内需が喚起されます。この内需が続いている間はまだ良いのです。日本もそうでした。しかし、バブルは突然やってきます。日本もそうでした。誰かがバブルだと囁いただけでも起こるかもしれません。つまり、逆説的に読めば、格差の縮小つまり国民全体の平準化と引き換えに、この高い貯蓄率が低下した時こそバブル崩壊のサインなのでは考えています。

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