ドゥマゴ文学賞受賞作「流跡」を2度読んで、最後には作家の操る日本語の表現が鼻をつくと嫌味な批評をしていましたが、芥川賞受賞作「きことわ」を再度読んで見事に裏切られました。
朝吹真理子さんごめんなさい。
素晴らしい小説と言うのはその情景が映像となって映ります。ヘミングウェイの老人と海でも、最後のライオンの夢をみる小屋の様子や、老人の船が係留されている港の様子が私には行ったこともないコヒマルの情景として目に映ります。
この小説もまさにその通りです。百足を熱湯で処分する二人の様子や、ずっと昔の化石図鑑の色あせたカヴァーも目に映ります。
これは決して葉山が舞台だからということではありません。良い小説と言うのは読者の頭の中でその世界を作り上げていくものなのです。
是非、この2冊お読みください。おそらく作家のこのような変態を昇華と呼ぶのでしょう・・・
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