科学者というのはとても文学的であると思うのです。
以前も分子生物学の遺伝子の正しい折りたたみの手助けをするタンパク質の総称を分子シャペロン(Moleclar Chaperone)と名付けたと申し上げました。そしてこのシャペロンは若い女性が社交界にデビューするときに付き添う年上の女性のシャペロンから引用したとも言いました。
実は物理学の世界でも、そうした夢のある名前の付け方があるのです。
クオーク(QUARK)とはレプトンとともに物質の基本構成をなすものの名称ですが、この言葉はモデル提唱者のマレー・ゲルマンにより名付けられました。
この名称はジェームズ・ジョイスの最後の作品「フェネガンズ・ウェイク」に登場する鳥の鳴き声なのです。
何故、マレーはこの素粒子をクオークと命名したか?それは鳥が3回鳴いたからです・・・もうおわかりですね
それにしてもこのフェネガンズ・ウェイクの最良の読者とは「不眠症で最後まで読み届き、最初に戻ってもう一度読み返す者だと言っていますが、少し前の私にぴったりです。今は不眠など考えられません。10分で夢見心地です。
円環的小説と言えばマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」、アラン・ロブ・グリエの「去年マリエンバートで」(これは映画にもなった)に代表されますが、ジョイス同様多くの作家に影響を与えています。
恩田陸さんもアランの小説をヒントに確か作品を作っていたことを思いだしました。
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