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2012年1月18日水曜日

芥川賞 直木賞

書評のブログではないのであくまで個人的見解です。

昨日、芥川賞と直木賞が発表されました。

息子が好きで全ての本を持っている(読んでいる)恩田陸さんが候補に入りながら受賞出来なかったのは残念ですがいずれ彼女は必ず取るでしょう。実力ありますから。

葉室麟氏の「蜩ノ記」は藤沢周平作品が好きな人なら好みだと思いますが、私はそれほどでもないのでイマイチです。武士の世界の正義と無情さといってしまえば簡単ですがそんな物語。

一方、田中慎弥氏の「共食い」はこの手のテーマがあまり好きでないので読んでいません。

円上塔氏の「道化師の蝶」は私の本命でした。氏は東大大学院の物理の出身で小説家になった人です。確か29歳。この小説は群像に掲載されました。

この小説の面白さはずばり複眼的世界です。プルーストの「失われた時を求めて」やアラン・ロブクリエの「いつかマリエンバートで」のように時間的円環世界ではなく、世界そのものがいくつもあるような、そうカラビヤウ多面体のような複雑な構造世界が存在するような物語なのです。

氏の出身とも関係しているのかもしれません(推類です)

ちなみに彼のペンネームは金子邦彦氏が書いた短編小説「進物史観」に登場する物語生成プログラム「円上塔李久」からとったそうな。金子氏は複雑系の研究者でもあります。


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