このブログを検索

2012年6月12日火曜日

野上彌生子 「森」

先日、鎌倉の古書店で野上彌生子の遺作となった「森」を購入した。この作品は最後の数ページを残してほとんど完成したものが後になって補筆され出版された。

九州のご出身の方ならば「フンドーキン醤油」はご存じであろう。また最近では女子プロゴルフのトーナメントでもその名前を聞いたことはあるかもしれない。

野上彌生子はその老舗の醤油製造所の娘であった。野上の作風は一貫して世間を少し離れたところで鋭く観察し、歯切れのよい言葉でばっさりと示す。

武田百合子もそうであったように、この時代の女性の強さは驚きである。世の中に媚びず、常に批判的精神を忘れない、そんな姿勢が今の時代に読んでも頼もしいである。

野上は鎌倉の寺に眠っている。鶴岡八幡をすぎて大船に向かう途中にある東慶寺である。

この寺には海外に日本の禅文化を広めた鈴木大拙が設けた「松が丘文庫」が存在する。

鎌倉の古書店には東京では中々お目にかかれないような書籍と出会うことがある。やはり文士が多く住んだ街のお陰であろうか・・・



0 件のコメント: