実はこのルーシー・リー展を心待ちにしていたのです。
ルーシー・リーのボタンを三宅一生氏がコレクションしていることは既知ですが、私には父の面影を感じます。
ルーシーはリーチにその作風を批判されました。そのころ父はリーチに薫風を受けたのです。
しかし、リーはその作風を一時は変えますが、またもとの自分に戻り、自分の到達した技能を開花していくのです。
私はリーの釉薬ノートに食い入るように体を乗り出して見ていました。むそこには父がノートに記していたことと同じように、化学物質の各々の質量と配合が記されていました。
彼女のピンクの釉薬にはCrの焼成とわずかな錫が有用と同じことが書かれていました。
彼女の作品通じて感じられるのは女性らしい優しさと凛とした強さです。
1986年に個展が開催された当時は、草月会館と東洋陶磁美術館でした。今はこの盛況です。
美とはなんでしょうか?
作者はそのひとところに座っていません。彼女も、ゴッホもみんな移ろっているんです。そう成長と世間では呼ばれている現象です。
ルーシーはルーです。リューじゃありません。お間違いのないように。