パレードで山本周五郎賞を受賞した吉田修一氏の小説は「パークライフ」も読んでいますがイマイチといったところでした。
今回の人をくったような名前の主人公「横道世之介」はどこにでもいるような普通の大学生です。その大学生のごく短い期間を区切って日記のように若者の心理を炙りだしています。これは面白かったです。読書時間2時間50分でした。
読み始めは私たちの若い頃の六本木、新宿、高田馬場とたぶって「ビブロス」「ヘンリーアフリカ」と場面まで浮かんでいたのですが、読み進むうちに「アレッ?」と感じました。
そう微妙に違うのです。私たちの頃はまだ主人公の通うH大学は高層ビルにはなっていなかったし、BMも前の形でした。そう微妙に時代が違うのです。大きな違いではないのですが、時間が積層的なものだとしたら、それがそのままずれたような感覚です。なんか気持ち悪い「ズレ」です。人間はおおきな「ズレ」なら享受できますが、わずかな気持ち悪いズレには弱いものです。それを意図していたらかなりのテクニックです。もっとも作者と私が9歳違いなのでそのことが起因しているようですが・・・・・・
それともう一冊ブログにもちょくちょく登場する内田樹氏の「日本辺境論」です。息子は氏の著作をプチインテリと称してあまり好きではないといっていますが、私にはこのプチインテリがいいんです。大インテリだったら理解に時間を要します。この著作は「論」とはなっていますが、著名人を並べ立て、どう思うのと読者に問うているようです。
初冬の2冊です。
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