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2011年6月14日火曜日

政治学

ドイツに続き、イタリアでも国民投票により原発廃止がほぼ決まったようです。

私は断っておきますが、原発推進派でも、反対派でもありません。そう簡単に白黒つけられるものではありませんから・・・

ここで取り上げたいのはこうした直接投票の危険性についてです。国民は一般的に時間的に静止した思考を持ち、今を考えるだけです。そして感情的判断を下すものです。日本が戦争に突入していったときの国民の思想体系はまさにそれです。
政治にとってポプュリズムが危険であることと同じことなのです。

そうしたことが世界の多くの国で行われています。政策と言うのは今の感情的判断ではなく、将来この国がどういう国になるために、どんな事が必要でどんな事をしなければならないのかという、結果とそれに伴う犠牲を国民に照らして勧めて行くべきものなのです。

もっとも政治だけが悪い訳ではありません。高速道路が千円になったからといって大挙して利用する国民です。自分たちが享受するサービスがどのような犠牲の上に立っているのか考えようともしないのです。嘆かわしい限りです。



こんなとき参考にしたいのがハーバード白熱教室で有名なマイケルサンデルの古典ともいえる著書です。アメリカの民主政治がどのようにして共和制的ものから変容したのかしっかりと書かれています。彼のロールズ批判と正義論にやや辟易した方にもお薦めです。こちらは正義論よりアカデミックです。



もう一点は妻との共著の「間違いだらけの少年H」で有名な山中 恒著の本です。この児童文学者は自らの戦争体験から世の中の不条理に対した物凄い反抗精神で貫かれた作品を書いています。確かにほんの題名のように昔が良かったはずはないのです。昔を知らないから昔が良かったといっているであって、決して昔が良かった訳ではありません。


そして最後は知の巨人ロナルド・ドォオーキンの日本初の著作集です。これは発売されたばかりなので予約を入れました。これはひと夏掛けて読むことにします。

この本はいずれも勁草書房より発刊されています。私も勁草のようにしぶとく強く生きてみたいと思うこのごろです。

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