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2010年12月8日水曜日

Paris 便り

夏のプラタナスが、手いっぱいにひろげて

カルチェの散歩道を飾る頃には、

パリにいて

取り残された思いの若者は、

旅先の娘から、優しい手紙を受け取っている。

あれはまだ

リュクサンブール公園の木々が

灰色の空に黒々とこごえている頃だったが、

ローヌ川の谷を南へ、リオン湾まで

オリーブが実り、糸杉が緑の焔を上げる土地へ旅するのだと、

娘が、頬を染めて話したのだった。

春の嵐に誓った旅の途上に、今む、娘はいて、

南仏の日なた臭い便りに、思いを託している。

出払って人気のないパリの学生下宿の

夏のプラタナスがそよぐ窓辺で、

若者はカマルグの湿地に水しぶきを上げながら、

白馬に乗って日が暮れる娘のことを考えている。

夕映えの空には、熱い思いのフラミンゴの群れも

舞っているのてゼはないかと・・・・・・・・・

(1979.7.20 JET STREAMより)

プラタナスの葉もすっかり落ちて

白夜のような薄暗い朝を

子供の手をとり、送り届ける親たちの姿に変わった

頃ごろでも

夏のプラタナスを思い出す

パリの冬です・・・・・

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