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2011年7月28日木曜日

お薦めCD Naomi&Goro&菊池成孔 ナラ・レオン



静かな音楽だけを集めた「雨と休日」というお店で購入したCDです。

Naomi&Goroさんは言わずと知れた日本のボサノバ界のヒットメーカーです。

そのコンビに菊池成孔氏が加わった2011年夏発売のアルバムです。

菊池氏はもちろんマルチなタレントで文章もシュールでユニークです。

私も大好きだった加藤和彦氏が逝去した折の彼の文章です。こんな弔辞なら天国の加藤さんも大喜びでしょうね。

ー抜粋ー

64歳と、近い年齢で自殺した伊丹十三氏を連想した方も多いでしょう。お二人のプロファイリングは、素人目にも大分違うと思いますが、我が国の文化の中で立ち振る舞った立場には共振性があったと言って間違い無いでしょう。ワタシは、あれだけボンボンで美しく、体躯にも知性にも恵まれ、若い頃からしっかりとお洒落でエッジで、早熟でダンディで軽みがあって、穏やかな笑顔を持ち、多趣味を極め、ガツガツせず、品のあるスタイリッシュな人生を送った人物が、60代と言わず70代と言わず、現在のこの国で、「やる事が無くなった」といって死んでしまう事を、一体誰がどうやったら止められるのか、まったく解りません。あのとき、同じ空を見て、美しいと言った二人の、心と心が、いまは、もう通わない。あの、素晴らしい愛をもう一度。あの、素晴らしい愛をもう一度。という痛切な「フォークのメッセージ」は、現在「ずっとそばにいるよ」「一生守ってみせる」「声を聞かないと不安になる」に変質してしまいました。我々は、アンチエイジングなどしている場合ではない。大人という、非常に贅沢な演技が全うでき、老人という、非常に贅沢な本質が全うできる社会を取り戻すために、全セクション総力を上げて闘って行かねばならないのです。故人の死をデカダンにしてはいけない。心よりご冥福をお祈り申し上げます。





それともう一枚ナラ・レオンのアルバムです。このアルバムは軍事政権を逃れてパリにいたときに録音されたものであり、単なる甘口のサウダージとは違う彼女の覚醒のような感覚が顕われています。詳しく彼女の生い立ちを知りたい方は鎌倉カフェ、デイモンシュのオーナーである堀内隆志氏の書いた「美しきボサノバのミューズの真実」を是非お勧めします。彼女の天性の歌声と引き換えにした壮烈な人生を見ることができます。

 




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