このブログを検索

2010年3月9日火曜日

藤原保信著作集

私は残念ながら都の西北ではありませんでしたので、藤原保信先生に直接教えを受けた訳ではありませんが、後に故人の思想の一端を垣間見たく「藤原保信著作集」を購入し、既読しました。
そういえば自宅近くのノースポートの店長をしている私の同期のT氏は政経学部出身のようだった気がします。



書の中に

「個人は、特定の社会関係から無関係に存在しうるものではないことに注意すべきであろう。むしろその生き方や価値観、行為選択そのものが、意識的、無意識的にその社会によって色付けられ方向付けられている。たとえば今日の高度資本主義社会においては、たんに人びとがみずからの欲望にしたがって生きるのみか、欲望が刺激され、駆り立てられ、その結果もたらされる大量消費が大量生産を支えるという循環のなかに巻き込まれているのである。そのような状況を考慮に入れたとき、善悪への問いを回避し、それを個人の選択にゆだねることは、そのような状況の支配にそのまま身を委ねることにならないであろうか。むしろそのような状況によってもたらされる一定の生の選択をも反省の俎上にのせ、そのなか最善き生き方を問うことが必要とならないであろう・・・・・・あらゆる社会と同じく今日の社会においても、さまざまな不平等も存在し特権も存在する。にもかかわらずそのような社会で、価値相対主義を唱えることは、結局のところ、既存の不平等や特権を放任し、時には隠蔽し、結果的にそれを擁護することにならないであろうか。そのようなばあいには、まずもってみずからの価値前提とそれをしからしめている社会への反省が責任ある生き方と責任ある理論の大前提をなすといえる。」



今の政治家や有権者に強く問いたい含蓄のある示唆に富んだ内容です。

0 件のコメント: