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2010年3月9日火曜日

Paul Auster




ポール・オースターは現代アメリカを代表する詩人・小説家です。年齢は私と同時代の人です。

ニューヨーク三部作」「リヴアイアサン」「幻影の書」などつとに有名です。すべて読みました。

その彼が「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」なるのをやっています。

これはどういうものかと、つまりアメリカのいろいろな普通の人たちに寄稿してもらったショート・ストーリーの中から佳作をラジオでポール・オースターが朗読するという、それだけのものです。

ポール・オースター曰く

物語を求めているのですと、私は聴取者に呼びかけた。物語は事実でなければならず、短くないといけませんが、内容やスタイルに関しては何ら制限はありません。私が何より惹かれるのは、世界とはこういうものだという私たちの予想をくつがえす物語であり、私たちの家族の歴史のなか、私たちの心や体、私たちの魂のなかで働いている神秘にしてはかりがたいさまざまな力を明かしてくれる逸話なのです。言いかえれば、作り話のように聞こえる実話。大きな事柄でもいいし小さな事柄でもいいし、悲劇的な話、喜劇的な話、とにかく紙に書きつけたいという気になるほど大切に思えた体験なら何でもいいのです。いままで物語なんか一度も書いたことがなくても心配は要りません。人はみな、面白い話をいくつか知っているものなのですから。」(『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、ポール・オースター編、柴田元幸他訳、新潮社)



確かに面白い試みです。私にとっての普通でも、あなたにとっては普通でない。逆にあなたにとっては普通でも私にとっては普通でない、そんなことが世の中には多く存在するのですから。

日本でもU・T先生がこの試みにチャレンジされるようです。面白い企画だと思います。「世界は自分という小さな宇宙によってまとめられ、きわめて排他的存在である」という私の哲学にも通じます。

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